2004年に大ヒットした韓国ドラマ『ごめん、愛してる』の主人公のソ・ジソブとイム・スジョン(右)。


現在、日本で、ソ・ジソブ主演で2004年に大ヒットしたドラマ『ごめん、愛してる』のリメイク版が絶賛放映中だ。韓国では最高瞬間視聴率が29%を超える大ヒットを記録し、ドラマにはまる人が続出。ドラマに没頭しすぎて、視聴後に何も手につかなくなることから、“ミサ廃人”(韓国タイトル『ミアナダ(ごめん)、サランハンダ(愛してる)』から略されている)とよばれる流行ワードができたほど、社会的にも多大な影響を及ぼした人気作であった。一方、日本では……というと、初回視聴率は9.8%、直近の第5話は9.4%。視聴率だけみれば、圧倒的な差があるように思われるが、ここは日本と韓国。テレビ視聴率の平均値が違うこと、また、日本では平均10%以上取れれば御の字と言われるということを除いても、苦戦しているのが目にみえる。


なぜ、日韓でここまでの温度差がでてしまったのか。その背景にあるのは、“古臭さ”だと思われる。いくら韓国で大ヒットしたとはいえ、そもそも、韓国で放映されたのが2004年で、10年以上も昔の作品だ。今は立場が逆転してしまったが、2004年当時は日本が韓国より紛れもなく先進国であり、流行もしかり、日流が韓流を凌駕していた時代であり、韓国は日本の20年あとを追っているといわれていたほどだ。その時代の作品を今、日本でリメイク放映するのは、時代錯誤も甚だしいのではないだろうか。“古臭さ”の中に、古き良き時代を思わす“レトロ感”(このドラマが目指したとすれば、90年代に流行した『人間失格』や『家なき子』といったドラマに代表されるように、人間関係の泥臭さを前面に出したところであろう)を目指したのではあれば、現在の日本人の嗜好に合わなかったことになる。


そしてもうひとつ。韓国と日本で社会的背景が違うことも要因であろう。このドラマの主人公は母親に捨てられ、貧困なストリートチルドレンとして生きており、その母親は著名なピアニストで贅沢な暮らしをしている、という設定なのだが、日本には、韓国ほど、捨て子も多くなく、そこまで格差に敏感ではない。


そして最後に、ヒットしない最大の原因は、ドラマ自体にあると言わざるを得ない。ただでさえ突飛な背景であり、感情移入ができない設定だ。そこに必要不可欠なのは、その背景や設定を飛び越える、視聴者を引き込むセリフ回しや、視聴者を裏切る展開やスリルが絶対必要とされる。しかし、残念ながら、このドラマにはそのセリフや展開が不足しているように思われる。


以上のことから、ドラマの後半戦も苦戦が強いられることが予想されそうだ。


THE FACT JAPAN|松庭直

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