去る2012年7月、有限会社ユウォン実業がロッテ建設株式会社から盤浦洞(パンポ・ドン)要地のMビルを買収したことが確認された中、ユウォン実業が家賃を既存の賃貸借保護法以上に引き上げ、論争となっている。|盤浦洞=オ・セヒ記者

 

[スポーツソウルドットコム|盤浦洞=オ・セヒ、ソ・ジェグン記者] ロッテの非公式系列社と知られている「有限会社ユウォン実業」が、建物を買収した後、家賃を大幅に引き上げたことが分かった。特にユウォン実業は、商店街の賃貸借保護法が保証している賃貸料9%の上限制度を守らず、違法的な“貸主の横暴”という非難を避けることが難しいと思われる。


◆ロッテ建設の物件を買収したユウォン実業、家賃を150%も引き上げ
去る2012年7月、ユウォン実業はロッテ建設株式会社から盤浦洞(パンポ・ドン)要地にある「Mビル」を買収した。このビルは相場100億ウォン(約9億3千万円)の価値を持っており、地層420.68㎡(約128坪)、1階296.18㎡(約90坪)面積の5階建てで、現在1階と2階はレストランが入居しており、4階はジムで、3階と5階は空いている状態だ。


ユウォン実業は、重光武雄(本命:辛格浩)ロッテグループ総括会長の第3夫人であるソ・ミギョン氏が経営する会社。ソ・ミギョン、シン・ユミ母娘は、2002年7月に設立されたユウォン実業の株式をそれぞれ60%、40%を保有している。ユウォン実業はソウル・首都圏にあるロッテシネマ(複合映画館)の内売店の運営権を持っており、年間売上高200億ウォン(約18億6千万円)の会社として知られている。しかし内部取引が問題になると、ユウォン実業は2009年に株式会社だった会社を外部監査や情報開示の義務がない有限会社に変更した。
ユウォン実業が買収したこの建物は、本来は1991年、ソ氏の知人と知られたイ氏がそれぞれ50%の共同出資で所有した物。それが2003年にロッテ建設に売買され、またソ氏のユウォン実業の所有となった。


しかし問題は、ユウォン実業がビルを買収してから借主らと摩擦が生じたことだ。ユウォン実業はビルの大家になって、借主らとの再契約の過程で家賃を大幅に引き上げた。
賃貸借保護法によると、換算保証金が2013年基準で3億ウォン(約2,800万円)未満(ソウル基準)の建物の場合、家賃の増額は9%まで引き上げが可能だ。しかしユウォン実業はこれを違反し、引き上げ可能金額を5倍以上にした。


突然の家賃引き上げに、借主らはため息を吐くしかない。ある借主は「昨年1月に契約が満了して、新しい家主と契約を結んだ。当初150万ウォン(約14万円)だった家賃を、240万ウォン(約22万円)に引き上げた。管理費も20万ウォン(約1万8千円)から39万ウォン(約3万6千円)へと大幅に引き上げた。無理なら出ていくしかないような通報に、仕方なかった」と訴えた。
換算保証金が3億ウォン以上なため、賃貸借保護法が適用されないが、他の借主らも「ロッテ建設が運営した時は、家賃が400万ウォン(約37万円)だった。ところが、ユウォン実業が所有者になると、700万ウォン(約65万円)に急に上がった」と言いつつ「厳しいけど、仕方なくあげてやった」と付け加えた。


付近の不動産関係者は「現在あのビルに空いている3階と5階は、保証金7,000万ウォン(約653万円)に家賃450万ウォン(約42万円)だ。ユウォン実業側は、この金額から下げるつもりはない。以前にも契約希望者が数人いたが、交渉ができなくて諦めた。そこは惜しいことない立場だから、賃料は絶対下げないはずだ」と語った。


法務法人<創造>のパク・チャンシン弁護士は、「賃借法によると、賃借人はビルの所有者が変わっても、少なくとも5年以内に契約更新する場合、入居者の賃貸借を保護しなければならない。賃貸借保護法第3条2項にも賃借住宅の譲受人は、賃貸人の地位を承継したものを見るため、家賃の引き上げの上限である10%を要求することはできない」と説明した。
続いて、「賃貸借保護法の第15条では、規定に違反された約定として、賃借人に不利なことは全て無効にする。50%以上家賃が引き上げられた新しい契約を作成しても、契約書は無効になる。9%を超えた部分については、法的根拠なしに家賃を受け取ったので、賃借人らは、不当利得返還請求ができる」と述べた。


公認仲介士協会の関係者も、「賃借人は、5年間の営業を維持する権利がある」とし、「賃借の目的で建物を購入した譲受人は、前所有者の地位も引き受けたものとみなされるため、賃貸借保護法が定めた家賃引き上げの上限である9%以上を要求することはできない」と説明した。

 

ユウォン実業は去る2012年7月、ロッテ建設株式会社からの盤浦洞所在のMビルを買収した。

 

◆勝手なリノベーションに、施設費用も入居者が負担?
“勝手なリノベーション”も論争を招いた。昨年12月に建物の売買契約が成立した直後、ユウォン実業は約1ヶ月をかけて建物のリノベーション工事を始めた。
問題は建物内外の大々的な改修作業が、入居者らには事前通知なく行われたことだ。通知なしで進行されたリノベーションによって、入居者らは営業的な被害を受けた。


1階の入居者は、「昨年12月の頭頃だった。普段と変わらず開店準備のために店に行ったら、店頭にインテリア工事に使う材料が積まれていて、大家さんは“建物の外観を中心に改装作業を始める”という告知書だけ残して、現場には姿を現さなかった」と言いつつ、「商売する入居者に、せめて1週間前でも工事計画を知らせてくれるのが基本常識であり、マナーだ。店の入口を1カ月間も工事現場にしたから、お客さんが来るはずがない」と不満を打ち明けた。


2階入居者の被害はもっと大きかった。リノベーション作業が進行される間、建物の外観に垂れ幕が設置されたため、店の外部窓が見えなくなり、来客数も半分に落ちた。ある入居者は「店が閉まっているように見えているから、その被害は言うまでもない」としながら「月8,000万ウォン(約747万円)だった売上が、昨年の半分だった4,000万ウォン(約373万円)台まで落ちた」とため息を吐いた。


リノベーションの過程で発生した施設のコストも問題と指摘された。店が使用するLPG暖房設備を、軽油設備に交換するために使用された費用はもちろん、店舗に設置されたエアコンの室外機の移動コストに至るまで、少なくは数百万ウォン、多ければ1億ウォンを超える費用が、全て入居者の負担となった。
ある入居者は、「大家さんが訪ねてきて(エアコン)室外機が設置された方向と位置が、外観を損なうという理由で、室外機を移動することを主張して120万ウォンをかけて室外機を再設置した」とし「安全性と機能に問題がある状況なら必要だけど、フロア別に揃えなければならないとかの理由で再設置を求めることは、文字通り“横暴”としか思えない」と強調した。

流動人口が多いソレマウル(地名)の真ん中にある商店街の店舗につけた数千万ウォンを超える権利金、開業当時にかかったインテリア費用など、入居者らが抱える金銭的な負担を、貸主であるユウォン実業が過度に家賃の引き上げた上、一方的な設備費用を請求などで悪用しているということだ。


ある公認仲介士は、「賃貸借保護法がテナントの権利を保護してくれとはいえ、現実的には難しい部分が多い」と述べつつ、「テナントが建物の所有者の無理な家賃の値上げを拒否しても、法律的に保護されることができる営業期限は限られている」とし、「建物の所有者と対立することになって、もし都合で店を閉めたい状況になった場合、(建物の所有者が)新しい賃借人に無理な家賃を要求したら、管理費を含めて最初に投資した費用までそのまま無くしてしまうことになるので、所有者の要求に応じるしかないことが多い」と説明した。
今回の問題と関連して、ロッテ建設の関係者は「建物の売却に関連して、弊社が言及する内容はない」としながら「売買契約後、家賃の値上げのような事案は、建物の新しい所有者個人の問題だ」と述べた。


一方ユウォン実業は、<スポーツソウルドットコム>が継続して連絡してみたが、結局繋がらなかった。

 

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