“民族教育の中心” 東京韓国学校、「韓国からの支援がもっとも必要な時期」
入力 : 2013-12-09 19:37:13 / 修正 : 2013-12-09 19:37:13

 

東京韓国学校の秋秉菊(チュ・ビョングク)校長。|撮影:チェ・ヨンギュ

 

[スポーツソウルジャパン|ナム・ジンガク] 日本の首都東京に、唯一の韓国人学校である東京韓国学校が、今年で開校60周年を迎えた。26人の生徒と10人の教師で始めた東京韓国学校は、これまで約1万人の卒業生を輩出し、在日韓国人の求心点役割を果たしてきた。そんな東京韓国学校が、最近の在外教育機関として改めて注目を浴びている。


最近東京都は、北朝鮮の核実験に対する日本国内の世論の反発と資金使途の不透明性などを理由に、都内の朝鮮学校に対する補助金を支給しない方針を正式に明らかにした。解放後70年近く日本で韓民族の「民族教育」を担ってきた朝鮮総連系の朝鮮学校が再び大きな打撃を受けると予想されるなか、在外韓国学校の中で最も忠実に民族教育を実施していると評価される東京韓国学校に関心が集まるのは、その自明性が確かにあろう。
しかし最近、日韓の政治的対立で韓国民に対する日本人の差別的視線と、本国からの支援不足などで、状況は明るいとは言えない。
<スポーツソウルジャパン>は先月末、東京・新宿区にある東京韓国学校の秋秉菊(チュ・ビョングク)校長に会って、東京韓国学校が展開する“民族教育の意味と必要性”、そして“在外教育機関としての苦情”などを聞いてみた。


東京韓国学校の歴史と設立目的
東京韓国学校は、今から60年前、子供たちの民族教育を心配していた在日同胞らの努力と力で作られた、日本関東で唯一の民族学校である。1954年4月、初等部と中等部が最初に開設され、翌年の1955年に東京都から認可を受けた。1962年には、本国政府からの認可も取得した。2003年には駐在国の学歴認定を認められ、日本の一般校と同等な資格を持つ正式な私立学校に発展することになった。本校は、在日同胞の子女の民族教育が設立の目的であり、世界的な一流学校を目指している。


校長としての運営原則と方針は?
東京韓国学校に赴任して1年が経っているが、学校のメンバーすべての疎通と協力の基で「夢と理想を育てる学校」、「夢を叶えていく学生」、「信頼と尊敬を受ける教師」になることを基本方針として学校を運営している。


東京韓国学校が持つ意味とは?
東京韓国学校は、1954年に26人の生徒と10人の教師で開校して以来、多くの困難を克服しながら発展してきた。現在は在外韓国学校の中で最も模範的に運営される代表的な学校として位置づけられたという評価を受けている。関東地域で唯一の在日同胞の民族教育機関として、“韓国人の精神をつなぎ、韓国人としてのアイデンティティーを確立させる教育”を忠実に実施しており、それが何よりも東京韓国学校の重要な役目である。それに加え、歴史的または文化的、政治的な面でも在日同胞社会の求心的な役割も果たしている。50年の伝統の中で約1万人に達する卒業生を輩出しており、名実ともに在日韓国人の精神的な柱で、民族教育機関である。

 

秋秉菊校長は、祖国のことを正しく学び、韓民族をありのままに理解する土台を立てていくこと。その上でそれぞれの夢と希望を育てていくべきだといつも強調した。

 

東京韓国学校の義務と責任があれば?
日本国内の他民族学校、ハングル学校の代表として中心的な役割をしながら、在日同胞の子女に対する民族教育を誠実に実行することに東京韓国学校の義務と責任があると思う。さらに、現地適応トレーニングと本国との連携教育を通じたグローバル人材を養成、世界中の韓国民族学校のリーダーとして、その役割を維持し発展させていくことだと考えている。


現在の小・中・高の生徒数。正規クラス以外の特別活動について
現在、小学校の654人、中学校の288人、高等学校の243人で総生徒は1,185人。教職員は、ネイティブ教師22人を含めて200人が在籍している。
本学では、正規の授業以外にも放課後に様々な特技・適性学級を開設・運営しており、講師は、生徒の父母や能力のある方々などを招聘して、英語、日本語、国語、数学、美術などの教科科目はもちろん、テコンドー、伝統舞踊、バイオリン、囲碁、書道、中国語などの趣味や個人の素質開発のための科目も運営している。現在、小・中・高に合計80以上の学級が開設されており、800人の学生が受講している。受講料などは一講座にあたり年間2万円程度で、二つの講座まで受講するのが可能だ。


在日同胞の子女と一時滞在者の子供にどのようなカリキュラムで教育しているのか?
現在、小・中・高の学生を基準に見ると、全体の33%が一時滞在者で、残りの67%が特別永住、一般永住、そして長期滞在者で構成されている。永住者、定住者が一時滞在者よりはるかに多いことが分かる。カリキュラム運営については、二つのコースを同時に運営している。在日同胞の子女のための現地適応教育課程、一時滞在の子供のための本国連携教育課程が同時に行っており、学生は自分で選んだコースを受講することができる。また、放課後にもそれぞれの特色を生かす関連科目を開設し、学生の希望に応じたカスタマイズ・コースを提供している。


生徒が最も苦しんでいること
敏感な時期を送っているだけに、生徒一人一人が様々な苦しみや悩みをたくさん持っている。ただ幸いなことに、本校の生徒は平均的に見ると、韓国の同年代の学生よりも優しくて、純粋で、礼儀正しいと校長として判断している。韓国で一般的に起きるイジメや、成績、異性などの問題は、本国よりもはるかに低いレベル。しかし大学進学に関連しては、学校選択のことで悩む姿が見える。そのために、教師や保護者との親密な協議を通じて、生徒の負担をなるべく軽減していく方針だ。


海外での子供教育において、保護者の最大課題とは?
本学は、様々な個性のある生徒と保護者が一緒に集まって生活するため、彼らの要求もそれぞれだ。もちろんそれに関する課題も様々。校長として保護者の最大課題と考えることは、生徒の将来進路だ。海外で暮らし続けていくのか。帰国をするのか。またどのような教育をさせるべきかを保護者は考えなければならない。しかし、何よりも大事なのは、祖国のことを正しく学び、韓民族をありのままに理解する土台を立てていくこと。その上でそれぞれの夢と希望を育てていくべきだといつも強調している。

 

開校より60年という歴史を持つ東京韓国学校は、これまで1万人以上の卒業生を輩出してきた。


学校運営において難しいことは?
どこの家庭や、どの機関も予算が十分であれば、困難は解消されると思う。本校も予算の不足による問題が多い。また、本校の構成員は教師、学生そして保護者で、それぞれ多様なニーズと意見を持っている。このような多様性を一つの目標と求心点に繋げ、発展的な方向に導いて行かなければならない。大変なことや難しいことはたくさんあるのだが、一生懸命に努力していくつもりだ。


卒業生と在学生に望んでいること
本校は60年の歴史を持ち、1万人以上の卒業生を輩出してきた。しかし、同窓会や同期会などは、あまり活発になっていない。学校の歴史に相応しい同窓会や同期会などの活動も、積極的に組織して活動することを望む。


在外韓国学校に対する韓国政府の方針やサポートの状況は?
最近になって、在外韓国学校に対する政府の支援と関心が徐々に高まってはいるが、まだ多い面で不足しているのも事実だ。これからは、直接的な予算支援をはじめ、派遣教師制度の復活、在外同胞教育委員会の新設、無償化教育などの支援にも関心を持って、進めてくれることを期待している。

 

 

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