自他共に認める‘日本通’、康重石(カン・ジュンソク)韓国観光公社東京支社長。|安・ビョンチョル記者 |
[スポーツソウルメディアジャパン|安・ビョンチョル記者] 昨年、独島訪問と天皇謝罪発言で勃発した韓日両国関係の悪化は、日本観光客の韓国訪問に大きな打撃を与えたため、韓国観光公社の中核である東京支社を担当することは決して花道ではない。重大な任務とプレッシャーとの戦いを意味する。しかし取材陣を迎える康重石(カン・ジュンソク)韓国観光公社東京支社長の顔は明るくて自信感に満ちていた。10年以上日本に生活している、自他共に認める‘日本通’であるだけに明快な状況把握とはっきりとした方向性を持っていた。何よりも今の難局を突破しようとする強い意志が印象的だった。昨年に比べて日本人観光客がなんと23%も急減した韓国の観光市場。その突破口も日本で見つけなければならないというのが康・支社長の考えだ。
<スポーツソウルメディアジャパン>は、7月1日、東京都千代田区にある韓国観光公社東京支部を訪れ、今年赴任した康・支社長に日本人離れの現状を打破する秘策について聞いてみた。
- 韓国観光公社東京支社の歴史と活動?
韓国観光公社の海外支社の中で東京支社が最初に設立された。1969年7月10日に設立され今年で設立44周年を迎えた。これまで東京支社は、韓国観光公社の設立目的に合わせ、日本人に韓国の文化と歴史、観光などを紹介して韓国をより近く感じるように努力してきた。
- 日本通で知られている。以前にも日本と縁があるか?
今年3月1日付で東京支社に赴任したが、日本の赴任は初めてではない。ソウル五輪が終わった直後の89年に初めて大阪支社で働くことになった。それ以後、福岡支社の次長、支社長を経て、2004年に韓流ブームが熱かった時、東京支社長を務めたことがある。日本には合わせて10年以上お世話になっている。
- 異例的に東京支社長を再任することになった。最近の両国間の問題と関係ある人事か?
それとは関係があるのかは分からない。ただし、以前にも両国関係が困難な時期があり、大阪や福岡などで勤務する際にも、教科書問題とかSARS(重症急性呼吸器症候群)の影響など何回の困難な時期を経験したことがある。そのような経験が今の難局を打破することに一定部分、貢献できるのではないかと個人的には思っている。
- 他の地域とは異なる日本の持つ特殊性は?
韓国にとって日本市場は、観光客の約35%を占める第1の市場であると同時に、成熟した市場でもある。韓国を訪れる日本観光客のうち60%以上が女性。ビジネスなどの観光以外の目的を除けば、女性の割合は80%まで上がる。女性が訪問することは、韓国が安全で、良い観光資源を持っていることを意味する。今後も日本は韓国にとって重要な隣国であり、さらに付加価値を創出する重要な市場になることは確実だ。
‐韓国観光公社東京支社が推進している事業の中で最も重点を置いている事業があれば?
観光公社東京支社の事業は、ターゲットとにする対象によって分けられる。対象は、大きく3つに分けられるが、一般消費者、ジャーナリストそして旅行会社だ。一般消費者にはイベントや情報提供などを主に実施する。日本の記者たちには、定期的に韓国へ招き迎える。新聞や放送に広告することも重要だが、記事を書く主体に韓国の魅力的な場所や食べ物、文化などを直接取材することができるように支援すれば、その結果として韓国を広報する良い記事が出るようになる。広報面で大きな効果をもたらすため、メディアを対象にした事業を重視している。最後に、韓国訪問の需要を直接促進するため、日本の旅行会社を対象に説明会を開催し、韓国観光商品も一緒に企画している。特に日本人観光客のうち75%が個人観光客であり、団体観光客が25%である点を勘案して今年からは、facebookなどのSNSを通じた広報活動を強化する予定だ。
7月6日と7日の両日、日本東京ドームで「韓フレンドシップフェスティバル2013」を開催するが、このイベントには上記の3つの事業が含まれている。韓国の文化と観光をテーマに一般市民4万人に無料で来てもらい、各種のイベントやステージを設け日本のメディアの参加を誘導する。また、日本の旅行会社が会場内にブースを設け、韓国関連の観光商品をその場で直接販売することもできる。韓国と日本の政治問題で生じた‘わだかまり’を少しでも解けるきっかけになることを願っている。
韓国と日本の政治問題で生じた‘わだかまり’を少しでも解くことに取り組みたいと語った康・支社長。|安・ビョンチョル記者 |
- 韓国の観光市場が低迷している。日本人観光客の激減が原因だと言われるが、その背景は?
韓国の観光市場の危機は、日本観光客の急減が最大の原因。日本人観光客が前年比で23.6%も減ったからだ。このような現象は、3つの悪材料が同時に発生して始まった。独島問題と天皇謝罪発言、北朝鮮の核の脅威、アベノミックスによる円安が、まさにそれである。幸いなことに、北朝鮮の核問題は、日本が北朝鮮との政治的な接近に乗り出すなど多少落ち着いた感がある。円安も昨年アベノミックスの初期と比べると一段と安定になる雰囲気で、これからも円安の深化はないというのが市場の意見だ。これらの問題を克服し日本人が再び韓国を訪れることを目指して、『日韓フレンドシップフェスティバル2013」などのイベントを開催する予定だ。この他にも韓流10周年を記念した特別訪韓商品やTV番組も準備中だ。
- 観光公社の運営するにあたって原則や方針などがあれば?
相手の立場を理解して行動を決まるのが運営原則であり、人生の哲学。相手のニーズを事前に予測していれば、仕事の処理や会話の進行が早く、お互いの間で意味のない消耗戦や衝突も回避することができる。
- 民間レベルでの日韓交流活動が活発になっている。それに関連する団体や機関に伝えたいことがあれば?
韓国でも日本文化がかなり定着している。日本のアニメや寿司、居酒屋などが韓国では既に一つのジャンル。逆に日本では韓国のドラマが放送され、K-POPが人気を集めている。これは、文化が一方的なものではないということを証明している。相互疎通がないと真の文化交流も行われ難いと思う。多くの団体が交流をしている。日本と韓国の将来と次世代のために、純粋な心で積極的に相手を理解しようとする交流を進めてほしい。
- 任期中の目標があれば?
昨年、日本観光客351万人が韓国を訪問した。今年の目標は400万人に設定するはずだが、現実は簡単ではない。任期中に400万人を超え500万人の誘致ができるよう取り組んで行きたい。