SBSドラマ「その冬、風が吹く」の最終回は、ハッピーエンドで幕を閉じた。|SBS「その冬、風が吹く」放送キャプチャーより |
[スポーツソウルドットコム|キム・ガヨン記者] ソン・ヘギョ、チョ・インソンという華麗な組み合わせが理由とは言い難い。SBSドラマ「その冬、風が吹く」(脚本 ノ・ヒギョン、監督 キム・ギュテ。以下、その冬…と表記)は、主演俳優らだけでなくさまざまなところで常に話題の中心にたっていた。
このドラマが伝えようとした思いは、そのまま視聴者に伝わり視聴率でも十分反映している。
これまでノ・ヒギョン作家の作品は、マニアが多い反面、視聴率は高くないのがほとんどだったが、今回はその反応が違った。
同時間帯にKBS2「アイリス2」、MBC「7級公務員」というそうそうたる作品と競争したにも関わらず、視聴率は不動の1位を記録している。「その冬…」は平均視聴率12~3%を記録し安定的な様子をみせた。
3日の夜、最終回も多くの視聴者から関心をよせた。最終回の視聴率は15.8%という自体最高値を記録。去年の11月から始まった“冬”は5ヶ月という時間を大団円の幕をおろした。
誰には恋の意味を、誰には人間に関する省察を深く考えさせた「その冬…」は、視聴率と作品性を同時につかみ、韓国を魅了した「その冬…」の4つの力を分析してみた。
◆ソン・ヘギョ&チョ・インソン、ふたりの卓越な演技力に魅了される
「その冬…」の人気の理由は、断然俳優たちの演技力だった。ソン・ヘギョ、チョ・インソンはふたりとも久々にブラウン管に復帰しただけに、いつもより慎重に作品を選択し、その結果「その冬…」に出会えた。そしてふたりとも卓越な選択だった。
演技力の成長をみせてきたソン・ヘギョは、オ・ヨンというキャラクターで女優人生の華を咲かせたともいえるほど、これまでみせたことのない絶頂の芝居をみせた。
これにチョ・インソンも、自分のキャラクターに同心一体となって、いっそう成熟した演技力をみせてくれた。
ソン・ヘギョが務めたオ・ヨンは、視覚障害がある大企業の相続女だ。彼女は自分の障害とともに心を閉じたまま生きる、感情的にも複雑で繊細なキャラクターである。ソン・ヘギョは毎回安定した演技をみせ視聴者からも絶賛を受けていた。このドラマが始まった頃は、ソン・ヘギョには厳しいキャラクターという心配の声もあったが、彼女は見事にオ・ヨンに扮して自身の能力を120%以上発揮した。
チョ・インソンも、爆発的な演技力で“女心”を刺激した。軍除隊後、復帰作を検討中だった彼は、当初映画「拳法」で復帰するつもりだったが、諸理由により撮影がディレイされることになり、ドラマ復帰を選んだ。そして彼の選択は正しかった。
チョ・インソンが演じたオ・スは、78億ウォンの借りにより命を狙われるギャンブラー。そんな彼がその大金を返すためにオ・ヨンの実の兄として接近、金を目的にしたつもりが、本当の恋と人間性に目覚めることとなり、悪人の裏に潜めた善義というものを見事に演じてくれた。
◆台本はすでに半分も作成済み、これがウエルメイド!
「その冬…」は放送が始まる前、すでにドラマのストーリ全体の5割である第8話までの分量を撮っておいてから放送スタートした。
いわゆる半事前制作済みという環境で行われた「その冬…」は、焦ることなくノ作家が徹底的な準備してきた台本通り進まった。
第1話の放送が始まる前、全16話までの初稿が完稿された状況ではじまった「その冬…」は、準備されている台本と撮影分量のおかげで、後半作業にもっと充実することができて、これは結局視聴者にも良質なドラマをみせることになった。また出演陣やスタッフらも週1~2回は休みがとれたため、制作にちゃんと集中できたはずだ。
これについてあるドラマ製作社の関係者は「韓国では事前制作はいけないという俗説がある。視聴者の反応が大きな影響を与えるからだ。半事前制作形態の『その冬…』は、このふたつを絶妙にまぜて成功したドラマになったわけだ。きっと今後のドラマ制作業界にも影響があるに違いない」と述べている。
◆ソン・ヘギョのリップスティック、チョ・インソンのスーツ…広告も大当たり
「その冬」の第1話、視聴者の視線をもっとも集めた場面はたったひとつ。オ・ヨンが自分の唇をさぐりながらリップスティックを塗るシーンだった。彼女が手にとったこの商品は、自身が広告モデルとなっているLブランドのリップスティックで、ソン・ヘギョを100%活用した今年春の新商品をみせながら、高い人気を集めている。
またチョ・インソンの場合、同じく自身が広告モデルとなっているP社のスーツを主に着用。売上に貢献しているという。“チョ・インソンが着ると、ブランドものを着ているようだ”と言われるほど、広告の効果も反映されている。
ドラマの関係者は「主演俳優たちが着る衣装だけでなく、すべてのアイテムが話題だった。ネット検索語1位はもちろん、関連商品を販売する店では続々完売を記録した。『その冬…』は作品とともにさまざまな付加収益を出している」と説明した。
◆韓ドラの風が再び吹く…第2の冬ソナになれるか?
多少中だるみ状態の韓国ドラマブームは、「その冬…」が再び巻き起こしている。日本ではすでに版権が契約されており、香港、シンガポール、中国など。アジア圏から多くのラブコールを受けている。特に中国市場で高い人気を誇るソン・ヘギョとチョ・インソンの認知度により、海外への版権販売の壁は低くなっている。
ドラマ関係者によると、シンガポールでは13日から放送がスタートし、視聴率も最高値を記録している。また先月17日開幕した「香港国際映画際」にも現地マスコミから高い関心が寄せられ、マレーシア側もオンエアーを希望している。
「その冬…」に対するこのような関心は、“「第2の冬のソナタ」になれるのか?”という評価もある。