【INTERVIEW】ソ・ジュニョン、30歳、兵役について語る「大人になりきりたくない」
入力 : 2016-12-23 11:42:58 / 修正 : 2016-12-23 11:42:58


(C)Tomoko Nozaki


ドラマ『凍える華(原題:天上の約束)』『あなただけよ』『花ざかりの君たちへ』など幅広い作品に出演し人気の俳優ソ・ジュニョンが単独ファンミーティングのため来日。3年ぶりに公式来日したソ・ジュニョンにドラマの印象や撮影エピソード、入隊を直前に控えた思いや心境の変化についてたっぷりと語ってもらった。


――3年ぶりの日本ファンミーティングの感想は。
「すごくよかったです。ファンの皆さんにすごく久しぶりに会えて僕ひとりで感動しちゃったみたいです。ファンの皆さんの良い気を今まで受けてこなかったような気もするので、今とても幸せな気持ちです。(泣きそうだったのを)ちょっと我慢して…ひとりでグッとこらえました(笑)。元々涙もろいので、ドラマや映画を観ながらも一人でよく泣いたりします」


――『凍える華(原題:天上の約束)』撮影時の印象に残っていることは?
「長編ドラマで本格的な悪役をやったのは今回が初めてでした。悪役とは言いましたが監督曰く、『このドラマに悪役はいない。どんな悪さをするにも理由がある』と。だから、悪役として悪い面を見せたとしても、視聴者の方にどこかで共感してもらえるようなポイントを作れるような努力もしました。悪態だけではなく、みんなに共感してもらえるような役作りを心掛けました」


――共演のイ・ユリさん、パク・ハナさん、撮影前と後で印象が変わったことは?
「大変な状況にあるとお互いを頼りにするというか力強い関係になりますが、(自分たちも)大変な撮影を一緒にこなしてきましたので厚い信頼関係が芽生えたと思います。出演者の方たちとはドラマの中で殴り合いや悪口、悪態をついた仲でしたが、今ではすごく仲良くなり、月に1度とか定期的に、先輩方や出演者の皆さんと会ったりする仲になりました」


――撮影中のハプニングやエピソードは?
「パク・ハナさんを殴るシーンで、水の中にカメラを設置して自分たちがその中に飛び込むような場面だったのですが、殴るシーンもすべて演じ終えたのに、カメラが回っていなかったんです(苦笑)。なので、もう一度撮り直したのですが、最初にいろんな角度で演じたカットがすごくよかったのにそれが撮れていなくて、放送ではたった1回だけ撮り直したものが使われたのでパク・ハナさんもすごく残念がっていました」


(C)Tomoko Nozaki


――セリフを覚える時、決まった場所がある?
「覚えたりはしないんです。台本を読んでどのような状況かをまず頭に入れるようにしているので、毎回同じセリフを言ってないんです。ひとつのセリフを見て、なぜこのキャラクターはこう言ったのか、どうしてこう言わなければいけない状況なのか、なぜ、なぜだ?ということをすごく考えて、その“なぜだ”が理解できたらセリフが自分のものになり自分の中に入ってくるので、そうなればセリフでなく自分の言葉として発することができるので、そういう努力をしています。本当に急ぎで時間がないときは、セリフとして覚えますが、普段は“なぜだ”と掘り下げて、ザックリとした状況を頭に入れて理解するようにしています」


――ドラマが終わった後も、役を引きずってしまうタイプ?
「切り替えないといけないので、一生懸命切り替えようとはしますが、それは本当にとても辛く苦しい作業ではあります。演じてきたキャラクターと別れなければいけないのはとても辛いことですし、その役が自分の中からなくなったら、その隙間を埋めるために、次の役を演じるという部分もありますね。今はまだわかりませんが10年後、15年後に自分が同じようなことを言っていたら、本当だったと思ってください。俳優とは苦しみながら作品を作らなければいけないと思っています。集中力を欠いてはいけないと思っているので、自分が撮影している時は緊張を解かないようにベッドで寝ないようにしているくらいなんです。ベッドで寝るとリラックスしすぎて緊張が解けてしまうのではないかと思い、いつもソファで寝るようにしています」


――入隊すると仕事を2年間中断することになりますが、今の率直な思いは?
「ずっと休まずに仕事をして作品に出演していてつらくないか?とよく聞かれるのですが、自分は休む方法を知らないんじゃないか、と考えるようになりました。軍隊では体はつらいでしょうが、軍隊に行くことのつらさというのは、今は考えてないです」



(C)Tomoko Nozaki


――兵役の2年間で期待することは? 
「期待することといえば、きっとこの先も演技をしていくと思うし、演技していく以上、これは友達を作れる、友達に会える最後の機会じゃないかなと思うので、それは期待しています。つらい時って絆がすごく深まりますので、そういった部分では期待しています」


――30歳を目前とした今の心境は?
「昔は30歳になったら何でもできるんじゃないかなと思っていました。「四捨五入/バンオリム3」(2006年)という作品をやったころは、10年後にはソウルにビルの1つでも建てているんじゃないか、結婚もしているだろうなとか思っていましたが、なかなか計画通りにはいかないものですね(笑)。でも、仕事を一生懸命してきた自分に対しては、よくやったなとほめたいとか、なぐさめたいなという気持ちはありますね」


――30代になってからも持ち続けたい目標はありますか?
「死ぬまで大人になりきりたくないですね。もちろん段々と大人になっていきますが、それでも子供のような部分を忘れずに、子供のように生きていきたいですね。そうすれば、きっと澄んだ目で色々な作品に対しても純粋な気持ちでできるんじゃないかなと思っています」


――ジュニョンさんにとって、何をしている時が幸せですか?
「現場で撮影をしているときが一番楽しいです。すごくつらくて一番緊張する場なのですが、一番リラックスできる場でもありますね」


――寝不足になっても撮影している時がいい?
「どんな場合でも頑張れます!…というわけにはいかない時もありますけどね。アハハ(笑)」


――日々の活力になるものは?
「今は、“甥っ子”ですね。すごくすごくかわいいです!!」


――ご自分のお子さんがほしくなったりしませんか?
「甥っ子は甥っ子だからいい、というのがありますよね(笑)。共感していただけると思いますが(笑)」


(C)Tomoko Nozaki


――これまでの俳優人生の中で、ジュニョンさんが最も影響を受けた人物は?
「高校1年生の時、デビューする時から一緒にやってきたマネージャーさんです。お互い何も知らなかった時からご飯を食べさせてもらったりしながら今までやってきたので、本当にここまで、がむしゃらに2人でやってきたという感じですね。人脈とか使わずに、近道もしないでオーディションの列に並んで役を勝ち獲ってきたので。監督でいえば、チャン・ゴンジェ監督ですし、俳優でいえばリュ・スンスさん。それから当然ですが両親からも影響を受けています」


――影響を受けた方たちはジュニョンさんにとってどのような存在?
「自分の人生の中に存在するだけでも大きな存在という人がいると思いますが、マネージャーや監督、俳優の先輩たちや両親、先ほどの甥っ子もそういう存在です。周りの人を大事にしてこそ皆さんから応援してもらえるし大事にしてもらえるのではないかと思います」


――デビューして10年、変わったものと変わらなかったものは?
「変わらないのはすごく緊張すること。本当にこれは良くなりません。それから今でもオモチャが好きで遊んでいること。変わったことはすごく多くて、今言った変わらないもの以外はすべて変わったというくらい。段々と変化していくのが当然だと思います」


――つらいことや苦しいことはどのように乗り越えてきましたか?
「ある時振り返ってみたらすごく残念だなと思ったことがありました。1日、1日を楽しんでいるのではなく、耐えてきているという部分がもったいないと思ったので、同じ1日なら楽しもうと考えて、どんなに腹を立ててイライラしてもいいがとにかく楽しんで、残念だと思わないようにしようという考え方をするようになりました」


――最後にファンの皆さんへメッセージを。
「今回が最後ではないので、来られなかった方も残念がらずにいてください。また、次に色々準備してきて、常に新しいことをお見せしたいです。同じことをしたくないので時間がかかっても準備をして違う姿、自分の真心を込めた姿をお見せしたいと思っています」


2017年に入隊を控え、日本のファンの前に姿を見せるのはしばらく先になるが、また新しい姿で戻ってくると約束してくれたソ・ジュニョン。決して派手とは言えないが、俳優として真摯に取り組み、着実にステップアップしている。その裏には彼の真面目で誠実な人柄があることが今回あらためて感じられた。


THE FACT JAPAN|野﨑友子/射場倫子



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