俳優ペ・ヨンジュンの結婚ニュースが伝わると、所属事務所のキーイーストの株価が急落した。|THE FACT DB |
◆有名スターの隠密なプライベートは、破壊力のある情報として活用
昨今の時代、重要なキーワードは“情報”だ。情報はすぐ金と権力につながり、競争で優位を占めるためには、その分野の情報が必須だ。結局、集団でも個人でも、この情報を探り、確保して掌握することに皆が必死な時代になっている。
人々の中では、他人の私生活に興味を持つこともあり、これは洋の東西を問わずとも言える。そしてその対象が芸能人、または有名人である場合、好奇心はより大きくなる。中では酒のつまみくらいで終わるものがあれば、破壊力のある情報として活用されたりもする。
ペ・ヨンジュンが先月14日、パク・スジンと結婚するというニュースが報道された直後、所属事務所のキーイーストの株価が急落(時価総額基準243億ウォン下落)したことは、そういう意味で示唆するところが大きい。
しかし問題は、実際とは異なる噂でも株価が動くという点だ。実際と異なる噂が広まったり、それがまた変形され、歪曲され、とんでもない情報に化けることは少なくない。人為的にデマを広めたりもする。
いちいち事実かどうかを確かめることが難しいことは、そのためでもある。
ところが、このような噂というのが、時にはホントだったりもする。それが韓国では、“チラシ”という名前で“情報”として扱われ、買い手と売り手がいるわけだ。単純なゴシップで終わらない場合があるからだ。
先月30日、俳優ウォンビンと女優イ・ナヨンが極秘で挙式をあげた。|写真:eden9 |
◆10個のうち1~2個は事実
そもそも“チラシ”という言葉は、韓国でも(日本語の)本来の意味で使われているが、このような特定の業界で使う俗語としても使われる。今は“証券街の情報誌”をすべて“チラシ”と呼んでいる。
しかもそのチラシから出てくる情報は、メディアはもちろん、情報機関、警察情報部、企業情報部などの情報市場で交換され、流れることが多い。
しかし、その信頼性はどの程度のものだろうか。意味通り「噂」である場合が大半である。
かつてチラシの収集と配布に関与していたH氏の話を聞いてみよう。
「いわゆるチラシという名前で収集される情報はさまざまです。はっきり言って信頼性の部分は保証できませんが、問題はこれを受け入れる側では、必ず信じたいという心理が働くということです。10個のうち1~2個くらいは必ず事実として確認されています」
H氏はチラシ発信の張本人として、お笑い芸人のイ・スクン、中堅タレントのチョ・ヒョンギなどの芸能人10人から訴えられたことがある。
そんな芸能界のニュースがチラシの形で広まったのは、2005年、韓国の芸能界を揺さぶった“芸能人Xファイル”の実体が明らかになってからだ。当時、韓国の有名広告代理店であるJ企画が、現役記者たちを介して収集したものが明らかになり、社会的な物議をかもした。以後第2弾、第3弾までに続いた内容には、大物の男女芸能人80人の実名と私生活などがインターネットの掲示板やブログなどにまで拡散。世間を騒がせた。
そんなチラシは、企業の役員らを対象にメールで配布されているのが一般的。政治、経済、芸能、スポーツなど、ほぼ全分野が網羅されている。情報収集が熟していないネタであるものの、価格はレベルによって数十万ウォンから数百万ウォンまで取引されるという。
先月30日、江原道・旌善(チョンソン)で結婚式を挙げた俳優ウォンビンとイ・ナヨンは、“チラシ”のうち、事実と判明された事例だった。メディアは、二人が交際を認めた時から、最近浮上した「結婚説」まで、毎回ささいなことから大きなことまでを記事にした。そしてその結婚説は、チラシが最初発信地でもあった。
二人の結婚説の背景だったチラシの核心は「チ・チュニのドレス」だった。最近SNSやスマートフォンのメッセンジャーには、「イ・ナヨンは、普段から親交のあるデザイナー、チ・チュニのウェディングドレスを着る予定」という“チラシ”が出回り、結婚説が浮上した。
所属事務所は「結婚説は事実無根」または「二人とも復帰作を検討中」と釈明したが、いざ蓋を開けてみると、結婚は“事実”だった。イ・ナヨンは挙式の当日、チ・チュニのウェディングドレスを着て登場した。
最近出回っている芸能界のチラシは、昔の“芸能人Xファイル”とは違う。噂通りウォンビンとイ・ナヨンは夫婦になった。チャン・ドンゴンとコ・ソヨン、イ・ビョンホンとイ・ミンジョンの場合も、チラシが情報の発信地だった。チラシを無視できない理由が、そこにあるのだ。
THE FACT|カン・イルホン記者