KBS2TVドラマ「感激時代」の主演を演じた俳優兼歌手のキム・ヒョンジュンが、<スポーツソウルドットコム>とインタビューを行った。|写真:ムン・ビョンヒ記者 |
[スポーツソウルドットコム|キム・ハンナ記者] 俳優キム・ヒョンジュン(27)が変わった。というよりは「成長」もしくは「成熟」という表現が正確だろう。
もはや演技未熟な“美男子”ではない。ヒョンジュンはKBS2TV水木ドラマ「感激時代:闘神の誕生」(以下、感激時代)の主人公シン・ジョンテ役を演じながら、これまで自分に付けられていた修飾語すべてをぶっ飛ばし、「김현중(キム・ヒョンジュン)」という名を書き換えた。
インタビューで会ったヒョンジュンは、「感激時代」を終えた、または演技に対する負担を振り落としたかのように、心も軽い表情であいさつしてきた。
ドラマ「感激時代」でキム・ヒョンジュンは、ファイターのシン・ジョンテを見事に演じて、“俳優”としての進化を成し遂げた。|KBS2TVドラマ「感激時代」放送画面キャプチャー |
◇ペ・ヨンジュン先輩が、いつもモニターしてくれました
「感激時代」でヒョンジュンは、前作「花より男子〜Boys Over Flowers」「イタズラなKiss〜Playful Kiss」などでみせてくれたイケメンキャラクターではない、*シラソニ(1930年~60年代まで、韓国ファイター歴史の拳帝と呼ばれた伝説的な人物)をモチーフにした、男たちのロマンと闘神になっていくシン・ジョンテを演じた。しかし当初は、透き通るような瞳と線がきれいなヒョンジュンが演じるには厳しいという声もあった。そしてそのような懸念は、彼の肩を重くさせた。
ヒョンジュン:「感激時代」を撮りながら、多少痩せました。本当にやりたかった役でしたが、うまく演じたかは自分には分かりません。でもたくさんの方々が好きになってくださったことは実感できましたね。中年の方が「がんばれ!」と応援してくださった時は、ドラマの波及力ってすごいものだなと、改めて感じました。プレッシャーの中で「感激時代」をはじめたのも事実です。だけどいつの間にかその負担がなくなってきました。
初めはシン・ジョンテになろうとがつがつしましたけれども、ある瞬間からジョンテを理解するようになりました。キャラクターを理解する瞬間、その中に溶け込んでいくと感じる瞬間。計算されたのではない、自然な演技ができるようになって、プレッシャーから離れることができたと思います。
実際ドラマが放送されている間、ヒョンジュンに対する好評が続いた。彼は我を忘れて闘神を演じたのだ。
ヒョンジュン:「感激時代」を通じて僕が見せたいことは、すべてやりきったような気がします。涙ひとつぶまで残さず絞りましたね。もう一度やってみる?って言われたらできないと思います(笑)。感情シーンが多かったので、瞑想して台本だけ読みながら半年を過ごしたんです。最終回で涙を浮かべるシーンでは、“ああ、もう本当に最後だ…”と実感しました。
ヒョンジュンは「感激時代」を撮影する半年間を、「シン・ジョンテに夢中になっていた」と、役に集中するために苦悩した瞬間を回想した。 |
演技がうまくなったに対する自信も見えた。シン・ジョンテというキャラクターに絶えなく没頭した苦悩も感じられた。
ヒョンジュン:一番仲のいい友だちがいつもモニターしてくれたんですね。放送序盤には「キスシーンはどうだった?」「チン・セヨンさん(相手役)は実際にもきれいな人?」とか、よく冗談で聞いてきましたけど、途中からは「次回はどうなる?」と劇に集中してくれました。その時、僕のことをよく知っている友だちが、キム・ヒョンジュンを消して、「感激時代」だけに集中してくれているようですごく嬉しかったですね。それもそのはずが、ドラマを撮影するこの半年間は、一度もキム・ヒョンジュンが出てくる夢をみたことがないです。いつもシン・ジョンテが主人公でしたね。夢までそうでしたから、自分が本当に没頭しているみたいで、胸がいっぱいになりました。
キム・ヒョンジュンは、同じ所属事務所の先輩であるペ・ヨンジュンに褒められたことを打ち明けてくれた。 |
友人たちからの絶賛を語りながら笑顔をみせるヒョンジュンに、大先輩ペ・ヨンジュンからの反応も聞いてみた。
ヒョンジュン:先輩は毎回観てくださって、最終回が放送されたあとは、「おつかれさま!すごく成長しているようで、観ている僕も気分がいい」とメッセージを送ってくれました。とても嬉しかったです。
ヒョンジュンにとって「感激時代」は、デビュー以来初めて挑戦したアクション作。ドラマでみせてくれた彼の強烈なまなざしとリアルなアクション演技は、ヒョンジュンを“俳優”としてよりいっそう成長させる触媒剤になった。
ヒョンジュン:アクション演技っておもしろいです。最初は単純なものだと思いましたけれども、その中に深い感情があることが分かりました。緩急を調節することが必要ですし、感情をことばで言うのではなく、体で表現することが妙な気分でした。叩かれる理由があれば、叩く理由もあって、まるで行為芸術をしているみたいでしたね。手も荒れましたし、膝もバカみたいに行っちゃいましたし、アクションがたくさんあっただけに、怪我も多かったですが、本当にシン・ジョンテになったようで幸せでした(笑)。
「感激時代」は、出演料未払い問題で一度騒ぎになっていた。それは作品を引っ張っていくヒョンジュンにとって、思いもよらぬ負担になったはず。総制作費150億ウォンの大作というタイトルに比べて、出演料の未払い問題は作品にも少なくないダメージを与えた。
ヒョンジュン:撮影スケジュールが遅延されるとか、問題になった時もありましたが、それがむしろ演技には役立ちました。最初は“これは大変だな”と懐疑的に思ったこともありますけど、その考えを一歩進んでみたら、“私たち皆が被害者だから、お互い喧嘩しても得にならない”と思ったんです。“ドラマの中で戦いと現実は一緒”というところまで至りましたね。守ろうとする者と戦う者がリアルになってきたら、却って演技に多く役立てる結果になりました。
「感激時代」を終えたヒョンジュンは、今後日韓を行き来しながら単独コンサートを行う予定だ。 |
◇軍隊は、来年に行くつもり…ブランクに対する心配はありません
心身ともに相当な苦労があった撮影記が伝わった。多くの俳優たちは作品が終わると、皆口を揃えて「とりあえず休みたい」という。ヒョンジュンも同じだった。トライアスロン(水泳・自転車ロードレース・長距離走の3種目を、この順番で連続して行う耐久競技)に挑戦したいという予想外なコメントもあったが、彼のスケジュールは多忙なばかりだ。
ヒョンジュン:一週間のうちに撮影が5日でしたけど、一日2時間寝たら多い方でしたね。“人間ってこんなに寝ないでも生きられるんだ”と(笑)。一番やってみたいのは、“トライアスロン”です。体が苦しい時に出てくるアドレナリンの感じがいいです。普段も一日80Kmくらいは自転車で走っています。(ソウルの)江村(カンチョン)から北漢江(プクハンガン)までずっと走るわけです。
それはまるで、世界を3倍4倍速で走る気分ですごく新鮮です。スクーバダイビングも好きですね。海の中に入ると、自分が知らない世界が繰り広げられます。その中で彼らならではのリーグがあることが興味深いですね。だからトライアスロンに魅力を感じていると思います。だけど、すぐコンサート準備に入ります。韓国と日本両国で行われるコンサートです。アルバム準備もします。でも自転車とスクーバだけは少しでも楽しんでから仕事に戻りたいです(笑)。
会話は自然と軍隊の話につながった。演技で一歩成長を収めた時点で、入隊の話を持ち出したら敏感になるかもしれない。だが、ヒョンジュンは気にしないで率直に答えてくれた。
ヒョンジュン:来年には入隊したいと思っています。ブランクの心配ですか?あっという間ですから、軍隊の方が楽かも。軍人の方に怒られるかもしれないですけど、軍隊は国民の義務として必ずいかなければならないところでしょう。芸能人のほとんどは不安定な状態なのに、一日ちゃんと三食が食べられて、決まった時間に眠られて、自分自身を振り返て見られる時間になりそうです。不安定な日常が規則的な生活と上下関係で、きっと学べることがたくさんあると思います。その後も俳優として活動していくつもりですから、軍隊で2年は、もっと自分が成熟できるきっかけになると思っています。
演技に自信がついたヒョンジュンは、機会があれば、メソッドにも挑戦したいと語った。 |
言うこと一つ一つが成熟された演技だけに伝わってきた。デビューしてもう10年目。30代を目前にして当たり前なことかもしれないが、その理由が気になった。
ヒョンジュン:SS501からソロになると、考える時間が増えました。自分の人生について真剣に考えてみたんですね。神秘主義っていって家から出ない時もありましたけど(笑)。二十にはもう戻れないと思ったら楽になりましたね。悲しいことがあっても、苦しいことがあっても、今日が一番幸せだと思いながら生きるようになりました。
彼がみせてくれる次の演技はどんなものだろうか。「感激時代」を通じてその期待を高めただけに、次のあゆみも気になるところだ。
ヒョンジュン:確かに二十の時よりは感情が深くなって表現できることが増えました。感情が大きくなって感じられることもたくさんありますし。演技に欲を言えば、“メソッド演技”に挑戦して、本当にクレイジーなやつになってみたいです。そんな日が来るかどうか分かりませんが、ただ没頭するんじゃなくて、そのキャラクター自体になる演技です。作品で完全にその人物になるという。以前ヤン・ドングン先輩が演じられた「勝手にしやがれ」(2002年作)のコ・ボクスみたいなキャラクターですね。セリフの発音とか気にしないで、自由に演技している。演技論的な面では発音が重要ですけど、そういうキャラクターは少し違うと思いますから、自由な演技がしてみたいです。
編集:安宰範