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“今夜は少女に戻るの!オッパ!サランヘヨ~!”


「永遠のオッパ(お兄さん)」「国民歌手」そして「歌王」まで、韓国歌謡界の伝説と呼ばれるチョー・ヨンピル(63) が15年ぶりとなる来日コンサート『Hello Tour in Tokyo』を7日、東京国際フォーラムで開催した。


公演の前、日韓取材陣を迎えて開いた会見では、「本当に久しぶりの来日となりますので、とても緊張しています。今回日本で新しいアルバムも久々に出しましたし、このコンサートを通じて日本ファンの皆さんにすてきな歌をたくさんお聴かせしたいと思います」と述べながら「この日の公演は、私にとって改めてスタートするようなものです。久しぶりにいい機会があって、こうして日本で公演することが個人的にも大変嬉しいです」と笑顔をみせた。
10月16日に日本でリリースしたアルバム「Hello」(19集)については、「私はテレビなどを通じてアルバムのプロモーションをしないですので、コンサートを通じて日本ファン皆さんの反応がみてみたいです。今日いらっしゃる方々には、15年ぶり、また20年ぶりでお会いすることになりますので、すごく感無量な気持ちです」と、1998年日本11都市ツアー以来初披露する新曲のライブに期待感を募らせた。


『Hello Tour in Tokyo』は、One Night Special(一夜限りの特別公演)で行われた。特に今回は日本のライブ公演界で毎回巧みな技を披露し、高く評価されているチーム大和がチョー・ヨンピルのために特別参加。韓国ではまだ導入されていない“ドットイメージ(DOT IMAGE)”というLEDライトスターを用いた最先端の3D演出技法を使うことになり、幻想的なステージを予告した。ちなみにチョー・ヨンピルは、この一夜限りの東京公演のために幕張メッセの公演場を3日間も借りて、同様なリハーサルを行ったという。

 

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いよいよ開演の時間がやってきた。
東京国際フォーラム・Aホールには、およそ4千人のもの日韓ファンが集まり、中では中高年の女性ファンが殆ど。さすが“永遠のオッパ”という愛称のチョー・ヨンピルであるだけに、彼女たちの手には皆「オッパ!(お兄さん)」というプラカードが。そしてステージの灯りが消え、15年ぶりになるあいさつ『Hello』が響いていく。ステージ後ろ側に設置された巨大スクリーンが扉のように二つに分けられ、ついに“歌王”が登場した。感激の声を上げるファンの歓声が続く中、チョー・ヨンピルは日本語盤の『Hello』を熱唱。継続して『未知の世界』(미지의 세계・1985年7集)、『おかっぱの髪』(단발머리・1979年1集)が披露された。

 

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3曲を終えた歌王は、「アンニョンハセヨ!こんばんは!元気でしたか?」(ハ~イ!と答えるファンらに)「逢いたかったですね。お久しぶりです。本当に。もう15年、20年もなりましたね。でもこうしてみると、私ぜんぜん変わってないです?まだ若いでしょう?」とウィットに富んだ流ちょうな日本語であいさつ。
「私の日本語、大丈夫ですかね?分かります?久々の日本語なので…韓国では全く使わないですからね。今日は皆さんのために頑張ります」
「今までずっと韓国でコンサートを毎年やってきました。そして10年ぶりに新しいアルバム『Hello』を出しました。今年韓国で大ヒットしたんですけど(笑)日本でも発売しました、持っていますか?どんどん買ってください(笑)」(客席でも笑いの声が)
「今日の『Hello Tour in Tokyo』、皆さん、楽しんでください。一緒に歌って、リズムに合わせて拍手して踊りながら、いっぱい楽しんでください!頑張ります!」とコメントを伝えると、
1981年作3集アルバムの大ヒット曲『赤とんぼ』(고추잠자리)が始まる。続いて『あなたに会えたら』(널 만나면・2013年19集)、『僕はお前が好き』(나는 너 좋아・1993年5集)を披露。一瞬暗転となって歌王によるエレキギターのソロ演奏が始まった。ギター演奏が終わると、メロディとつながるような展開で『残された者の孤独』(남겨진 자의 고독・1995年15集)の“生まれ変わっても、僕は君の香りを探していこう!この世が果てるまで”というロマンチックな歌詞とバラードな歌声が目を潤ませた。

 

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雰囲気はまたガラリと変わって『夢』(꿈・1991年13集)、『探せないケッコリ』(못찾겠다 꾀꼬리・1982年4集)、『パンドラの箱』(판도라의 상자・1997年16集)までを歌い、会場の空気は熱く盛り上がった。
そして長年間歌王と息を合わせてきたバンド“偉大な誕生(위대한 탄생)”によるピース別演奏ステージが繰り広げられた。まずはシンセのイ・ジョンウクがヨーロッパテイストのユニークな演奏でスタートを切った。続いてドラムのキム・ソンジョが爆発的なビートを披露し、ピアノのチェ・テファンが軽快にキーをたたく。そしてベースのイ・ユンテが情熱的なリズムに乗る。最後にギターのチェ・ヒソンが観客らの拍手を誘いながら華麗に奏でると、再び歌王のチョー・ヨンピルがステージに上がってきた。
「今日コンサートの前に、チンペイさん(谷村新司)が楽屋に来てくれたんです。どこ?チンペイさん?」と声をかけると、谷村新司が客席の中央部から立ち、観客らにあいさつ。チョー・ヨンピルは彼との長い付き合いを語った。
「1982年と思いますけれども、アシアンミュージックフォーラムで初めて谷村さんに会ったんです。そしてそのご縁でPax Musicaのテーマソングになった『友よ』をチンペイさんと歌いました。すごく幸せでした」と、コメントが終わると、名曲『友よ』(친구여・1983年5集)が響いてきた。

 

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次の曲は、1986年に日本でヒットを果たしたシングル『想い出迷子』(추억의 미아)。一斉に喊声を上げるファンらに、“時はあしたを連れてくるけど、過去のどこかで迷子になってる”の歌詞が心に染みて、涙をみせるファンも多く見られた。
続きは、空前のヒット曲となり、チョー・ヨンピルを1987年「NHK紅白歌合戦」へ初出場させた『釜山港へ帰れ』(돌아와요 부산항에・1982年日本シングル)がついに披露。ステージの天井には、ドットイメージによるカモメが飛んでいた。一節は日本語で二節はハングルの歌詞にした釜山港に、ファンは手を合わせながらあの時の名曲に心酔された。

 

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ここからは、「Hello」の収録曲パレードが始まり、胸を打つバラードテンポの『歩きたい』(걷고싶다)、ロックなセレナーデ『ときめき』(설렘)を熱唱。ステージのスクリーンには今年大ブレイクを記録した『BOUNCE』を歌う海外ファンらによるまとめのイントロ動画が流れ、ファン皆が一緒に“跳ね上がる”日本語盤の『BOUNCE』が、日本で初披露された。
目を合せ“YOU MAKE ME BOUNCE!”と叫びながら歌を終えた歌王は、「バウンスです。発音は大丈夫でしたか?」と笑いを誘い、「한국분들도 많이 오셨죠?(韓国ファンもたくさんいらしたんですか?)」と韓国語で聞くと、席から立ち上がりながら答えてくる。「カムサハムニダ」と礼を言う彼は、「この曲は、今年韓国で大ヒットしました。韓国の子供たちから若者までに愛された曲で、子供たちの間でこの歌を知らなければダメと言われるくらい人気でした」と語りながら、「今日の公演は、日本のスタッフ、韓国スタッフ、合わせて200人です。本当に大和チームは、お疲れさま。感謝します、韓国のスタッフらもありがとうございます」とスタッフらの骨折りに感謝を伝えた。
また「韓国からのファンもすごい来たんでしょう?記者団も50人くらい来ました」と言いつつ「皆さん、応援してください!これからもよろしくお願いします」「今年は、私が音楽人になってから45年になりました」と感無量の気分を語り、この日の公演のクライマックスを知らせながら「次は、昔の歌を一曲。『窓の外の女』(창밖의 여자・1979年1集・1982年日本シングル)」を歌います」と、一節は韓国語で二節は日本語で熱唱。もっとも熱い拍手と涙に包まれた。
続いて『自尊心』(자존심・1982年4集)、『バラの明かりを灯して』(장미꽃 불을 켜요・1991年13集)で、再び会場が盛り上がった。
そしてこの日初めて、ハングルでも難しい歌詞を日本語字幕で訳した『キリマンジャロの豹』(킬리만자로의 표범・1986年8集)が披露、不滅の名曲で最後の曲となる『モナリザ』(모나리자・1988年10集)が始まると、日韓ファン皆は一つとなって席から立ち上がり、一緒に拍手して一緒に踊って歌う、この日一番熱いステージが繰り広げられた。
継続して『Hello』の日本語盤がもう一度披露され、華やかなスターマインの音とリボンの雨が降ってくる。退場した“チョー・ヨンピル”を連呼するファンの声に、アンコールステージでは、『あなた』(그대여・1980年2集)、『旅に出よう』(여행을 떠나요・1985年7集)が公演の最後を飾った。

 

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「ありがとう」の気持ちを心から込めて90度まで頭を下げながらお辞儀する“永遠のオッパ”チョー・ヨンピルは、2時間の間23曲も熱唱。ステージをあとにした。


歌王が退場したものの、まだまだ熱気が冷めない会場。淋しい気持ちを隠せない少女ファンたちの顔は、皆微笑みでいっぱい。
『釜山港へ帰れ』の時代からチョー・ヨンピルのファンだったという佐野さん(66・女性)は、「今年ソウルコンサートにも行きました。彼が15年ぶりで日本に来てくれただけで、とってもありがたいです」と感激の声をあげ、京都から来た松本さん(42・女性)は、「一夜限りの公演じゃすごく物足りないです。もっと日本に来てほしいです」と未練を示した。
またある日本ファンは「彼はまるで魂を込めて歌っているようです。歌唱力も、表現力もすべてが素晴らしい。それがチョー・ヨンピルさんの一番大きな魅力だと思います。本当に偉大な歌手です」と親指を立てた。
さいたまから来た西成さんは、「すばらしい、その一言です」と感激を抑えず、山梨から来た80歳の母親を連れてきた女性ファンは、「母が昔からのファンで、30年ほど前韓国で行われた彼のディナーショーに行ったことがあります。今日は15年ぶりの公演なので私と一緒にきて、私はロックが好きなので、今回のアルバムにはロックなものもたくさん入っていましたし、すごく楽しめました」と感想を述べると、おばあさんは30年間も大事にしてきたチョー・ヨンピルとの記念写真をみせてくれた。

 

永遠のオッパ!チョー・ヨンピルという時計の針は、きっと反対に回っているに違いない。

それが歌王と呼ばれるK-POPの伝説、チョー・ヨンピルである。

 

 

 

 

 

 

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