サムギョプサル専門店<とんちゃん>の具哲(グチョル)社長 |
[スポーツソウルジャパン|安・ビョンチョル記者] 日本で初めてサムギョプサル専門店<とんちゃん>を展開し、今や年間売上高12億円(2012年度基準)を上げている有限会社K・J LIFEの具哲(グチョル)社長が、飲食業界での成功を目指している人々のために彼の成功ノウハウを公開した。
24日、東京・新大久保のK-PLUSでは、飲食業界に夢を持つ一般人と関係者約50人が参席する中、「2013年 韓食世界化専門人養成スクール」とタイトルで講演会が開かれた。講演会の講師は、都内の12カ所で店舗を展開している日本初のサムギョプサル専門店<とんちゃん>の具哲氏。彼は4時間に渡る講演会と座談会を通じて、<とんちゃん>を始めたきっかけやその過程、そして成功に至った理由とノウハウを誠心に説明した。
サムギョプサル専門店<とんちゃん>の具哲(グチョル)社長 |
1989年、22歳の時に日本に渡った具氏は、「家庭が非常に貧しかった。中・高校に通う時にやらなかったアルバイトがないほどいつも金に困っていた。入隊して暇な時、遊びに日本語を少しずつ独学したが、そのうち、日本への留学が制度的に可能になり、昔から観光ガイドに憧れていて、除隊した後すぐに日本へきた」と日本に来たきっかけを説明した。
具氏の日本での初事業は韓国式居酒屋だった。学業とアルバイトを平行して何年間貯めた資金を投資した具氏は、「夜から翌日の朝まで、365日休まず家内と一生懸命にやった。寝不足で、客がない時を利用して店の奥で浅い眠りをしたのを今も覚えている。韓国にいた家族を考えると命かけでやるしかなかった」と当時を回想した。
7年間誠心誠意で店を運営した結果、自分の家を手に入れることができたと言った具氏は、韓国に戻ることになる。具氏は、「小さな貿易会社を韓国で始めた。アイテムは、日本の100円ショップ。日本の100円ショップで売られている可愛い商品を輸入して韓国のデパートなどで販売した。最初はバカ売れだった。今まで韓国では見えない商品であるからだ。しかし、大企業も同じアイテムで市場に参入し、私の経営経験の不足も影響して、結局、潰れた。再び日本行きの飛行機に乗るしかなかった」と韓国での生活を語った。
具哲(グチョル)社長 の講演会 |
人生で最も苦しい時期を送っていた具氏は、妻の冗談のような言葉から今の<とんちゃん>を始めった。具氏は、「たまに友達や知人を家に呼んで、サムギョプサルを食べた。しかし、サムギョプサルという食べ物は結構面倒なものだということが分かった。後の片付けも大変だし、特に油があちことに跳んでいって、掃除が難しかった。サムギョプサルの価格も安いものではなかった。ある日、妻が冗談交じりで“サムギョプサル屋をやる方がマジだ”と言った。妻のその言葉が<とんちゃん>のきっかけになった」と<とんちゃん>誕生のエピソドを打ち明けた。
今は韓国式のサムギョプサル焼き肉店が至るところに看板を出しているが、当時日本にはサムギョプサル専門屋はなかった。韓国のように野菜やキムチなどを無料で提供し、サムギョプサルも韓国のようにして準備した具氏は、「家を売って2000年に店をオープンした。本当に怖かった。自分の人生最後の勝負だと思って、すべてをかけた」と当時の心境を伝えた。しかし、<とんちゃん>のサムギョプサルは口コミですぐ人気店になった。今までない韓国の焼肉の味で日本人を魅了し、徐々に客を伸ばしていった。
幸運も訪れた。2002年日韓ワールドカップで店の売り上げは最高潮に達した。具氏は、「その時、日本のある地上波の番組で全国グルメを放送したが、<とんちゃん>がそこで堂々と1位に選ばれた。<とんちゃん>というブランドが日本人に確実に知らせる契機になった」と<とんちゃん>の成功過程を説明した。
<とんちゃん>成功神話の秘訣を4つの項目でまとめた具氏は、「まずは親切さ。親切にお客さんを迎えることを忘れないのが一番重要なことだと思う」と親切さを強調しながら、「どんなに素晴らしい味を提供しても親切さのかけた店には二度と脚を運ばないのがお客だ」とその理由を説明した。
続いて具社長は、「二つ目は清潔だ。清潔を注意しないとお客さんに不快感を与える。サムギョプサル屋であるため、掃除を怠ると不潔さがさらに際立つ。特に私はトイレの掃除に気を使ったが、それは、トイレが店の顔だと思ったからだ」と清潔の重要性を強調した。
成功秘訣として3番目に挙げたのが味だ。“まずい店には店主の父も来ない”という言葉で味の重要性を語った具氏は、「オープンを準備する際に決めたのがメニューを多いにしないことだった。サムギョプサル専門店という特性を生かしながら美味しい料理を提供するためだった。今もメニュー追加は、本当に自信がある時まで何か月も時間をかけている」と述べた。
具哲(グチョル)社長と講演会の参加者たち。 |
具氏が最後に説明した秘訣は信用だった。具氏は、「今私がこのように事業をするのは人に対する信用を守っていたからだ。特にお金のことは必ず守った。取引先の決済や人との債務などについては後に延ばしたりしたことは一度もない。職員の給料も、どんなに厳しくても、借金をしても、必ず決まった日に支給した。そのお陰か、<とんちゃん>に就職希望を持つ人がたくさんいる」と言いつつ、「事業というのは、人が集まることで動くもの。特に飲食事業は、私の経験上、その面がもっと強いと思う。信用は、人の心を引き付ける最高の武器であり、絶対守るべきの鉄則だ」と伝えた。