玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)会長(左)が率いる現代商船は、今年第2四半期(4~6月)に純利益を挙げた反面、崔恩瑛(チェ・ウンヨン)会長が率いる韓進海運は、同期間赤字を記録した。 |
[スポーツソウルドットコム|ファン・ジュンソン記者] 韓国海運業界の二本柱、現代商船の玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)現代グループ会長と、韓進海運の崔恩瑛(チェ・ウンヨン)韓進海運ホールディングス会長が、今年第2四半期(4~6月)の実績で悲喜が交差した。
玄貞恩会長は、グループの相次ぐ好調により明るい下半期を迎える反面、崔恩瑛会長は今年初、ペーパーカンパニー設立疑惑や実績不振、韓進グループの持株会社設立による余波などで頭を悩ますところだ。
◆現代商船の玄貞恩、嬉しいニュースに“からりと”...
現代商船は、今年第2四半期(4~6月)に売上1兆8332億ウォン(約1千624億円)、営業損失669億ウォン(約59億2600万円)、当期純利益317億ウォン(約28億800万円)を達成した。売上高は前年同期比10.3%が減少したが、営業利益は22.3%が改善され、当期純利益は黒字転換した。当期純利益の黒字転換は、2010年第1四半期(1月~3月)以来、なんと2年6カ月ぶりだ。
また現代商船は、現代建設を引き受ける前、当時債権団に払った履行保証金が返還されることになり、財務改善にも青信号がついた。先月25日、ソウル中央地方法院(裁判所)の民事31部は、現代建設の債権団に対して、現代商船が入札過程で払った履行保証金2755億ウォン(約224億700万円)の中、3/4に該当する約2066億ウォン(約183億350万円)の返済を判決した。
この判決によって現代商船は、利息を含めた2388億ウォン(約211億5600万円)を返してもらうことになった。長期間の海運業界の沈滞で各海運事業者らが流動性確保に力を注ぐ中、この金額は現代商船にとって相当役立つと専門家らは評価した。
さらに、最近韓国と北朝鮮が開城工業地区の稼働再開に合意することになり、主開発権者である現代峨山も活力を出し始めた。現代峨山は両国の関係改善により、金剛山(クムガンサン)事業が5年ぶりに再開できると期待している。
◆韓進海運、4四半期連続で期待値以下
海運業界1位の韓進海運は、今年第2四半期にも黒字転換に失敗した。韓進海運は、第2四半期に売上高2兆6684億ウォン(約2千364億円)、営業損失557億ウォン(約49億3400万円)、当基純損失804億ウォン(約71億2200万円)を記録した。コンテナとバルク部門の輸送量が増加し、売上高は前四半期に比べ6.9%が増加したが、供給増大による運賃回復の遅延とバルクの市況下落で営業損失が生じた。
崔恩瑛会長は、昨年から黒字転換を目指し強度の高い体質改善を推進した。しかし2011年リーマンショック以降、黒字転換に成功した去年第2四半期以来からは、市場の期待値とは違って実績が下回り赤字が続いている。ただ去年第4四半期(10月~12月)以降、3四半期連続で赤字の幅を縮めた。
今年に入ってからは、異例的オーナーリスクも作用した。崔恩瑛会長の夫、故趙秀鎬(チョ・スホ)韓進海運前会長の側近だった趙容敏(チョ・ヨンミン)元韓進海運ホールディングス代表取締役社長と一緒に、<ニュース打破>が報道したペーパーカンパニーの設立者名簿にその名が上がったことで、論争の中心に立ったからだ。
韓進海運側は、「3年前、崔恩瑛会長は株主名簿から削除され、会社とは無関係だ」と説明したが、崔恩瑛会長がどんな理由で租税避難所に会社を設立したかの理由は明確にしないで、その目的に対する疑問はまだ残っている状態だ。
◆韓進海運側、持株会社体制に深まる悩み
これに先日1日、趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が率いる韓進グループが持株会社体制に変換したことで、持株会社の系列分離はより厳しくなったという観測だ。
韓進グループでは年売上高10兆ウォン(約8千859億円)規模の韓進海運が系列分離されると、物流専門企業の位相が大いに弱化される可能性が高い。陸(韓進宅配)-海(韓進海運)-空(大韓航空)に繋がるシステムが崩れるからだ。また財界序列も落ちることになる。
韓進グループに残ると、系列分離に対する長年の夢が水の泡になり、「持株会社の孫会社は、ひ孫会社の持株を100%保有しなければならない」という規定で、韓進海運新港湾(51%)など10社の孫会社は残りの持株をすべて買い取らなければならない。この際数千億ウォンの資金が投入されるはずというのが、業界の分析だ。しかし最近海運業界の不況により、今韓進海運の資金事情は余裕がないところだ。
また、経営権において摩擦が生じる可能性もある。崔恩瑛会長は二人の娘と財団法人ヤンヒョンなどで、韓進海運の持分36.02%を所有する持株会社、韓進海運ホールディングスの持分26.49%を保有している。韓進グループは、大韓航空などを通じて韓進海運ホールディングスの持分を27.25%を持っている。
崔恩瑛会長の友好勢力まで加えると、46.65%に至る持分が確保できるが、韓進グループの持株会社の経営干渉は一定部分避けることはできない。
これにより韓進海運側が猶予期間である2015年8月まで、韓進海運ホールディングスの持分を売却するよう韓進グループに要請するという観測もあるが、韓進海運の関係者は、「状況によって適切に対応するはず」と伝えた。
財界のある関係者は、「国内大企業のトップらは殆どが男性だが、海運業界では“二人の女丈夫”が仕切っている。崔恩瑛会長と玄貞恩会長が地道にいい実績を出していけば、海運業界のみならず産業全般で次期女性CEOらにもいいお手本になるはずだ」と述べた。