韓国証券街が業績悪化に深いため息を吐いている。しかし、他の業種に比べはるかに高い給与を受けながらも、数百億ウォン単位の金融事故が頻繁に発生する状況で、証券社の弱音が素直に聞こえるはずがない。 |
[スポーツソウルドットコム|ファン・ジンヒ記者] 机の上に2つの数値を並べて比較してみようとしたら自然に首を傾げるようになる。一つは、他の業種よりもはるかに高い証券業界の平均給与であり、他の一つは、前期より大きく落ちた証券社の第1四半期(1~3)の実績である。毎年実績を発表するたびに弱音を吐きながら業況不振を叫んでいた証券業界だが、従業員の平均給与は断然トップという事実をどのように受け入れればいいのだろう。
先月31日に発表された大企業の従業員の平均給与調査によると、証券界の従業員の平均年俸は8130万ウォン(約720万円)で、他の業種に比べて最も高い水準だ。
しかし、先月26日に業績を発表したHMC投資証券は、2013年度の第1四半期(4〜6月)の営業利益が1億2000万ウォン(約1.100万円)にとどまり、前年同期の営業利益55億5700万ウォン(約5億円)より97.8%も急落した。前期(約10億円)と比べると98.9%の急落だ。
他の大手証券会社の第1四半期の推定純利益は、前期比61.5%も下落すると予想されている。ほとんどの証券会社も、第1四半期の業績が半減した様子だ。
しかし、第1四半期の実績よりもっとも下がったのは証券会社の倫理意識だ。不況と株式市場の低迷を勘案して見ても、あまりにも衝撃的な金融事故が韓国証券会社に蔓延している状況だ。
先月30日、ハナ大韓投資証券のA次長が個人的に顧客のお金を集めて株の売買を行った。その過程で、100億ウォン(約9億円)が超える金融事故が発生し、その後A次長は姿を消した。今年6月に株と債券価格が暴落したことから発生した金融事故だという。特にハナ大韓投資証券は、2010年の〝オプションショック″の影響で約760億ウォン(約67億円)の損失を被った。当時“金融事故金額で1位″という汚名がついた。
韓国投資証券も最近、100億ウォン(約8.8憶円)台の債券損失が発生したことについて内部監査を行い、債権担当のB次長を解雇した。監査でB次長は、債権の損失を報告せず隠したことが分かった。
先月ハンメック投資証券の従業員は、任意の売買をして摘発され、1人は停職、1人は減給の措置を受けた。この証券会社のあるチームが昨年5月に投資家から売買注文を受けず、現物97億ウォン(約8.6憶円)、先物2705億ウォン(約240億円)など2802億ウォン相当の金融投資商品を任意に売買して摘発された。
このように大規模な金融事故が頻繁に発生するのを、証券市場の低迷、業況不振、実績競争などにその責任を転嫁することができるだろうか?当局の規制と過当競争に不満の声を上げていた証券会社が、高い年収をもらいながら衝撃的な金融事故を犯すことは誰にも理解しにくい部分だ。
証券会社の弱音は以前にもあった。通貨危機以降、業況不振に悩まされた証券会社は実績を発表するたびに弱音を出した。そのため韓国の証券会社は、コストを削減したり、リストラを議論したり、利益を出せなかった事業を縮小したりもした。
しかし、重要なのはコストの削減やリストラの論議などの実行よりも、証券会社の落ちた倫理意識を取り戻すことだろう。‘1位の証券会社’、‘サプライズ実績’などのタイトルを得ることは難しいが、一度の金融事故でブランドイメージは一瞬で墜落してしまうということを忘れてはいけない。