先日8日、ニュージャージー州で発行されているローカル紙<スター・レジャー>は、「パリセーズを保護せよ(Protect the Palisades)」という私設を通じて、LG米州本社の新社屋建立に反対する意見を表明した。|ニュージャージードットコムよりキャプチャー |
[スポーツソウルドットコム|ファン・ウォンヨン記者] グローバル企業のLG電子が、アメリカでの新社屋建立において、現地環境団体や一部の地域社会との激しい対立により難航中である。
LG電子は、去年2月、タウン調整委員会からニュージャージー州・イングルウッドクリフ地区に、8階規模(143ft→約43m)の米州本社の新社屋建立計画を承認された。しかし、現在地域社会と環境団体の反対により、工事が開始できない状況だ。
◆市民団体の反発が激しい…米全域まで拡散?
論争になっている新社屋の建立敷地は、当初35ft(約10m)以下の建物のみが建てられるところだ。LG電子が買入れた10万9300㎡の敷地にあるCITYグループのビルも、その規制に合わせて高さが低い3階建てとなっている。
ここでLG電子が8階建ての新社屋建立に関する計画を提出すると、タウン調整委員会とタウン議会などは、雇用創出などの莫大な経済効果を考慮して、高度制限を緩和する条例案を通し、LG電子に許可計画を承認した。
しかし去年、慈善家だったジョン・ロックフェラー・ジュニア氏の孫で環境保護活動家のラリー・ロックフェラー氏が、パリセーズの景観棄損を防止するため、LG新社屋の高さを下げることを要求。市民団体とイングルウッドクリフ地区の一部住民らが、LG電子に対して訴訟を提起してきた。そして現在、LG電子の新社屋建立に反対するウェブサイトなどを中心に、署名運動にまで展開されるなど、アメリカ内での反対が相当な模様だ。
さらには、韓・米頂上会談が開かれた今年の5月には、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズのワシントンDC版に、朴槿惠(パク・グネ)大統領に対して、LG電子の新社屋建立の仲裁を求める広告文が掲載された。
LG電子の米社屋の新築反対に、前職州知事とニューヨーク・タイムズなどが加勢して、全国的に拡散する兆候が見られ、LG電子も慌てる状況となった。ニューヨーク・タイムズが私設を通じて、LG電子の新社屋建立を批判した上に、ニューヨークの政治家もクリス・クリスティーニュージャージー・州知事に対して、LG電子の新社屋建立を霧散させることを促す、公開書簡を送ったからだ。
ニューヨーク・タイムズは、先月23日、「パリセーズをダメにするな(Don't Spoil the Palisades)」という私設を通じて「ハドソン川の向かい側にあるパリセーズ森は、ニューヨークとニュージャージーが100年以上を保護してきたところだ。35ft高度制限規制が、143ftまで許容されることになって、LG電子ビルの上層部が森の上に突出してしまって、景観が悪くなるはずだ」と主張した。
前職ニュージャージー州知事たちも反対に協力した。トーマス・キンなどの前州知事たち4人は、「LG電子の新社屋建築は、パリセーズ森の眺望棄損と大型建物の増築をそそのかす前例になるはずだ」としながら、建物の高さを下げることを要求した。
そして、スコール・ストリンガー補助長とルベン・ディアズ・Jr・ブロンス・ボロジャンなどのニューヨーク政治家たちも、ニュージャージー州知事に「LG電子がパリセーズ森の景観を脅かしている。森が保護できる解決策を作っていただきたい」と促した。
これとともに、ニュージャージー地域新聞及び団体らは、うまず他やまず私設と論評などを通じて、反対声明を出している。また、スター・レジャーとワーゲンレコードは、各々先日8日と6日付の私設を通じて、「ニュージャージーの社屋が、アメリカの自然景観をダメにしている」と主張しながら反対の声を上げた。
◆後退はできないLG、“このまま行くつもりだ”
アメリカ内の反対世論が急速的に拡散しているなか、LG電子は一歩も譲れない態度だ。ジョン・テイラーLG電子・アメリカ法人副社長は、「社屋建立は、クリスティー州政府の承認を受けている。反対勢力がニューヨークを中心に論争を拡大させようとしている」と反駁しながら「ニューヨークの政治家を含めた一部反対勢力は、(社屋建立で)ニュージャージーが得られる経済的効果は全く念頭していない」と強調した。
そして、実際ワーゲンカウンティのキャスリン・ドノバンカウンティ長とイングルウッドクリフのジョセン・パリシ・Jr市長は、LG電子の新社屋が、雇用と税収を創出するという点で新社屋プロジェクトを支持しており、地域労組指導者たちも、去る5月にあった計画案に賛成している。
韓国のLG電子も「LG電子のアメリカ法人と同じ立場である」と伝えた。
LG電子関係者は「住民公聴会を数回行った後、政府から正式に許可を取った合法的な設計案だ。森の景観を害するというのは誇張した事実だ。木に囲まれて外からみると、社屋があることさえ気がつかないくらいだ」と釈明した。
関係者は「州政府の州知事が建立案を支持しており、アメリカ社会全体が反対するのではなく、一部の反対勢力が論争を拡大しているだけだ」と付け加えた。
現在市民団体と政治家たちは、LG電子の新社屋建立には賛成するが、風景と自然を棄損しないように建物の高さを下げることを求めている。環境団体側は「建立自体を反対しているのではなく、高さを下げて建てると、経済効果も生かしながら風光を棄損しないで済む」という意見を提示している。
反面、LG電子は、開発案変更にかかる費用が莫大なため、変更が難しいという態度だ。しかし追加的に必要な費用と被害規模については、具体的に明かしていない。
LG電子は今年の5月、ニュージャージー州の高等法院の命令により環境団体などと交渉に臨んだが、円満な合意までは至らなかった。
一方、業界関係者は「韓国の財閥企業がアメリカの自然を棄損するという誤解が、国家イメージに悪影響を与える恐れがある。アメリカ内の環境問題は、論争の中心となる可能性も高いため、適切な対応策を講じることが必要」と述べている。