劣悪な勤務環境で世論から批判を受けている株式会社農協情報システムが、片方の肺を摘出した職員に対する訴訟は取り下げないまま、勤務システムを改善するという立場を示した。|農協情報システムのホームページより

 

[スポーツソウルドットコム|パク・ジヘインターン記者] 株式会社農協情報システムが、勤務システムを改善するという立場を示したが、その立場表明に対する疑問の声が上がっている。これは長時間の勤務時間により、片肺を摘出した職員に対する訴訟は取り下げないまま、まず勤務システムを改善すると乗り出したからだ。


先日8日、農協情報システムのハム・ビョンソク代表取締役は、民主党に対して、法定限度を超過する延長勤務の実態を改善し、訴訟が行われている被害者ヤン(39、元職員)と合意すると伝えた。しかしこれも先日5日、国会議員らからの叱責によるものと見られる。
農協情報システムの勤務システムの問題は、同社で務めていた職員からの通報によりマスコミが公開。以降論争となった。長時間に及んだ勤務時間のせいで、とうとう自分の片肺を摘出しなければならなかったヤン氏が、2年間を努めたところが農協情報システムである。
ヤン氏は、農協情報システムで2006年11月から2008年11月まで、2年間4525時間を超過勤務した。彼は年間4000時間を超える過労により、結核性肺膿瘍となって右肺の折半を摘出。2010年5月7日、ヤン氏は韓国労働部に、勤労基準法違反で農協情報システムを告訴した。
その後、民事裁判で3年間を一人で戦ったヤン氏は、残業時間の一部を認められた。裁判部は農協情報システムに1100万ウォン(約96万円)の手当を支給するように決定した。しかし農協情報システムは判決に屈せず、大型法律事務所を選任して控訴してきた。
こうした農協情報システムの挙動を知った民主党の乙支路(ウルチロ)委員会の国会議員らは、記者会見を開いて、無報酬で法定限度まで守らず残業させ、健康を害してしまった職員と訴訟を続けるという農協情報システムを強く批判した。
民主党のユン・フドク議員は、「職員たちが受け取っていない残業手当がなければ、綿密に調査して精算しなければならない。悔しい立場にいる職員たちみんなが訴訟に参加することは難しい。裁判の結果を論ずるより、互いが協議して解決するように」と促した。同党のホン・ジョンハク議員は、「昨年と一昨年、農協電算網で事故があったが、IT労働者たちの劣悪な労働環境は放したまま、どんな対策を立てたというのか到底理解できない」と強調した。
このような国会議員らの叱咤が続くと、先日8日、ハム代表は民主党に対して「法定限度を超過する延長勤労実態を改善し、訴訟中の被害者ヤン氏と円満に合意する」と伝えた。
しかし、勤労環境を改善すると約束した農協情報システムは、具体的な延長勤労システムについては、言葉を濁した。農協情報システム側は「今回問題となった長時間勤労システムを改善するために、対策を設けているところだ。国会議員らから指摘された項目に合わせて、二度と再発することがないように協議策を準備中である」と述べている。
この関係者は「ハム代表がヤン氏との訴訟について改めて検討してほしい」としながらも「まだ訴訟の取り下げについては言及していない。ヤン氏との訴訟とは関係なく、内部で勤労システムの改善を行うつもりだ」と付け加えた。


IT従事者たちの中で、勤務環境が相当劣悪と知られている農協情報システムは、2006年、韓国農協中央会が資本金100%を出資して設立したIT専門会社だ。同社は、農協IT統合官制センターの構築及び運営、農協保安官制サービスセンターの運営、NH農協証券のインフラ運営サービスなど、農協ほとんどの電算業務を担当している。

 

 

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