李御寧先生。|撮影:安宰範

 

[スポーツソウルジャパン|安宰範] 言論人、教授、評論家、初代文化部長官、そして日本では『「縮み」志向の日本人』(講談社学術文庫、学生社)や『ジャンケン文明論』(新潮新書)などがベストセラーとなり、多様な領域で精力的に活動している韓国の代表知識人、李御寧(イー・ヨリョン、79、現中央日報社顧問)氏が、先日5日、東京・四谷にある駐日韓国大使館の韓国文化院で「韓流、文化の力はどこから来るのか」をテーマにして講演会を開いた。


「2013東京国際ブックフェア」で韓国がテーマ国になったことを記念するとともに、昨年9月より随時開催している「グローバル韓流フォーラム」イベントの一環として、韓国文化院が設けられたこの講演会の客席は、日本の著名人らから韓国の留学生たちまで、李先生の文学ファンを名乗る人々でぎっしりと埋め尽くされた。


講演では、韓国ドラマやK-POP、韓食、韓国の高級文化など、アジアの周辺文化と言われた韓国文化が、世界の注目を浴びる地域として成長するまでの過程を分析し、世界の多くの人々に親しまれている韓流の源流と本質について、李先生による独特の視点が繰り広げられた。そして終始興味深い内容が展開し、集まった観客からは、共感と笑いが相次いだ。


特に李先生は、韓流が世界的なブームを招いた大きな理由の一つとして、第5の波と定義される情報通信テクノロジーによる情報革命の時代を挙げた。iPhoneなどの革命的なスマートフォンの開発、タブレットPC、そしてインターネット通信などによる情報習得の容易さから始まった韓流の成長。そしてそのような革新的なインターフェースの開発によって変わってくる新たな未来の誕生を強調した。
また、韓国、日本、中国などのアジア諸国が持つ文化は、違うものと定義するより、それぞれの共通性が融合且つ吸収し、お互いが“共感”できるインターフェースが生まれたことで、韓流が広く包容できるようになったと述べた。

 

李先生は、歌手PSYの事例をたとえながら、今後の韓流と東洋の文化がより大きな支持を受ける時代がくると予測した。|撮影:安宰範

 

先生は、環境・資源ビジネス革命が始まろうとする今時代の韓流と東洋の文化が、西洋からの注目により、既存のものとは異なる新しい形と性格でその変化が生まれる現象を強調した。特に歌手PSYの事例をたとえながら、ハンサム・キレイ・美しさを好む人の習性が、過去から見慣れたものから好感を持つようになり、ハンサムでもなくかっこいいわけでもないPSYがなぜ西洋人に受けるかを説明した後、今後はこうした韓流と東洋の文化がより大きな支持を受ける時代がくると予測した。
また、著書『ジャンケン文明論』で述べた韓国、日本、中国の文化の多様性と共通性を過去から現在までの成り行きで説明し、この3国が新しい文化のパワーをつくるためには、お互いの国がジャンケンのような関係になることが重要だという考えを伝えた。
ちなみに、このジャンケン関係とは、衝突しか生まれない二項対立の西洋の考え方とは異なる。ジャンケンは1番、2番を決める垂直的・階層構造とは異なった丸い形の循環構造になって、一人勝ちも一人負けもさせない、パーとグーの対立項の真ん中にあるハサミこそが、その“中間”であり、これに当てはまるのが韓国だという。そして、このジャンケンはぐるぐると回る関係にあり、島の文化の日本、大陸文化の中国、そしてその間に半島国である韓国があって韓国はハサミ役になると。李先生は、韓国、日本、中国が一緒に手を組むことによって、世界へ通用する新しいパワーを作ることができると3国の協調性を強調した。

 

韓国の代表知識人 李御寧先生。|撮影:安宰範

 

李先生は予定の時間を超えた講義が終わると、先生の著書を手にして挨拶に来る日本人のファンや韓国ファンに、満面に笑みを浮かばながら直筆サインと記念撮影などを行い、日韓の真の交流ができる貴重な時間になった。

 

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