チョン・ジフン、イ・ハナ、シン・セギョン、ユ・ジュンサン、キム・ソンス、チョ・ソンハなどが出演する映画『R2B』

 映画『R2B:リターン・トゥ・ベース』(以下R2B)に対する期待は高かった。


この映画は去年の10月に、釜山国際映画祭で制作発表会を行い公開するまで、なんと11ヶ月という時間がかかった。通常制作発表から試写会まで約1カ月がかかっている他の映画に比べたら、比較し難い長い期間でもある。

 

それほど、この映画の完成度に対する期待も高かった。しかし今月の8日、メディア試写会を通じて公開された『R2B』に対する感想は失望、そして心配に変わっていた。長く時間をかけただけに、CGや高空上の戦闘アクションシーンは素晴らしかったが、映画の骨格となるストーリの未熟さに加え、各キャラクターに関する説明不足により、終始散漫な物語を続けた。まるで110分のPVを観ているようなビジュアルだけを強調した映画だった。


この映画を総指揮したキム・ドンウォン監督は、この前韓国の大邱(デグ)広域市で開かれた撮影現場の公開やショーケースで、「CGについて観客がどのような評価をしてくれるか心配にはなるが、自信はある」と述べた。それもそのはず、本来予想していた公開日を1年もずらしたため、「時間と努力をかけたから、素敵なCGが出来たはず」という期待に応え、この映画のCGは、韓国の映画史上、これまでの無い完璧な画をみせた。

 

そのCGは、実際空を飛んでいるような錯覚を感じるほどリアルなものだった。高空アクションシーンもスペクタクルそのものだ。耳なりが激しくなる苦痛な状況でも、実際の戦闘機を使い、長い時間をかけて撮影したので、監督をはじめ、俳優、スタッフたちの苦労や努力がみえた。

 

しかし、このような相当な努力をしたにも関わらず、この映画の最も大きな弱点となったのは「貧弱なストーリー」だった。

数百、数千万ドルの制作費をかけているハリウッドのブロックバスター映画の場合、「見どころがあれば良い、ストーリーまで期待するのはちょっと残酷だ」という評価をしているが、それは映画のスケールがストーリーを圧倒するからだ。しかし『R2B』の場合、なんとも言い難いストーリーだった。

 

物語は、空軍の特殊飛行チーム‘ブラックイーグルス’のパイロット‘テフン(チョン・ジフン)’が、エアショーに参加、危険な飛行テクニックを試み、21戦闘飛行団から追い出されることから始まる。そこで‘トップガン’と呼ばれている‘チョルヒ(ユ・ジュンサン)’に出合い、二人は互いの名誉をかけた対決を繰り広げる。ここでテフンは、飛行団内のエース‘セヨン(シン・セギョン)’と恋に落ち、テフンの先輩である‘デソ(キム・ソンス)’、同期の‘オ・ユジン(イ・ハナ)’と、忘れられない友愛を積むことになる。

 

平和な彼らに、ある日急な出来ごとが発生し、帰順(脱北)を装った北朝鮮の戦闘機が、ソウルのランドマーク63ビルを攻撃することになって、21戦闘飛行団との交戦が始まるのだ。21戦闘飛行団は、テフンとチョルヒがリードする非公式的な作戦「R2B:リターン・トゥ・ベース」を開始、危機一髪の韓国を救おうとする。

 

基本的な骨格は悪くないが、各展開を繋いでいくことが問題だった。映画のクライマックスまでいくには、1時間も待たなければならない。それまでは、各キャラクター、背景などを描写していく構成だが、多くの登場人物を一遍に説明しようとすることにより、各人物についての説明は円滑でなく、その流れもよくなかった。

 

また、主人公たちのラブストーリーに着せたBGMは、まるで3分のPVを連続で観ているような錯覚まで感じてしまうほどだった。眩しい日差しの中で、ラブラブな姿を見せるチョン・ジフンとシン・セギョンの演技は、とても可愛らしいものではあったが、素敵なラブストーリーで話題となった歌手のキム・ボムスの曲『一日(ハル)』のPVに比べ、それ以上、以下でもなかった。

 

ストーリーの中・後盤から継く南北の対立状況は、むしろ劇の集中に邪魔をしている感じだ。敵機の浸透と攻撃、代置状況まで、あまりにも急いでいるような劇展開は、観客がストーリーを追っかけていくにも厳しかった。プロバビリティーのない展開に‘軍人精神’を強調し、愛国心だけ持たせようとする様子は、観客から共感を得にくかった。

 

キャラクターに集中させようとしたことも物足りなかった。映画『R2B』は主役のチョン・ジフンを中心に出したが、キム・ソンス、ユ・ジュンサン、チョ・ソンハ、そしてイ・ジョンソクが輝く映画でもあるのだ。

チョン・ジフンとユ・ジュンサンと緊張構図、キム・ソンスの人間美、チョ・ソンハのソフトなカリスマを、ありのままに活用しなかったのが、とてももったいない映画だった。

 

しかし映画『R2B』は韓国映画の史上初の高空アクションを、とてもリアルに表現したところで大きな意義を持っている。 ただビジュアル面だけを強調したため、映画の基本骨格が崩れたことはとても残念だった。この映画は、本日(18日)の前夜に公開する予定だ。


 

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