第41回トロント国際映画祭のスペシャルプレゼンテーションセクションに公式招待された『阿修羅(原題)』 |
地獄のような世界で生きる、悪い奴らの生き残りをかけた戦いースペクタクル時代劇『MUSA-武士-』で一時代を切り開いたキム・ソンス監督が、今度は権力に溺れる者とそれにしがみつく男たちの修羅を描き出した『阿修羅(原題)』。キャストには『ベテラン』のファン・ジョンミン、『グット・バッド・ウィアード』のチョン・ウソン、『アンティーク~西洋骨董洋菓子店~』のチュ・ジフンといった演技派を揃え、韓国ではノワールの新境地として公開前から熱き視線を受ける『阿修羅(原題)』。トロント国際映画祭で初めて一般の観客の前で披露された。
第41回トロント国際映画祭のスペシャルプレゼンテーションセクションに公式招待された『阿修羅(原題)』は現地時間13日トロントのエルギンシアターで公式上映を行った。スペシャルプレゼンテーション部門はトロント国際映画祭で最も華やかな部門のひとつとして主に産業性と作品性を兼ね備えた映画が上映され、巨匠監督やスターの最新作などが招待されている権威ある部門だ。
この日、劇場付近ではただならぬ雰囲気が漂っていた。約1400人あまりの海外バイヤー、記者、観客が会場に集まり、賑わいを見せるがどこかいつもと違った緊張感が漂っていた。全ては『阿修羅(原題)』への期待感そして、どんなヴァイオレンスを目にするのかといった恐怖が混じりあいこの雰囲気を作り出していた。
チケットを手にいれることのできなかったファンもフォトゾーンを中心に劇場を囲むように俳優たちを一目見ようと集まった。この光景をみた俳優たちは感謝の気持ちを伝えようとファンのそばに近寄ってサインや握手は勿論、一緒に写真を撮るなどファンサービスで会場の外さえも盛り上げた。映画が上映されると、観客たちは映画にのめり込み、緊張した表情を浮かべた。映画が終わると歓声と拍手が起こり、一気に会場は熱気に包まれた。
映画を観たトロント国際映画祭アジア作品のプログラマーであるジョヴァンナ・フォルヴィー は、「細かなニュアンスがスクリーンを通じて鮮明に伝わってきて引き込まれた。最高に息をのむ犯罪映画であり人間の弱さや不正を深く掘り下げている映画。新しいジャンルの映画の誕生と言えると思う」と賛辞を惜しまなかった。
ウディネ極東映画祭のプログラマーであるサブリナ・バラチェッティは「ストーリーが創意的で予測不可能。特に後半の見せ場の爆発的な吸入力は息がとまりそうなほど強烈だった。新たなスタイルの映画が誕生した!」と語った。
上映後に行われたティーチインではチョン・ウソンは『MUSA-武士-』以降15年ぶりにキム・ソンス監督と一緒に仕事をした感想を話した。
「監督との再会は僕にとってとても大きな意味がありました。前よりももっと成長した姿で観客の期待に応えられるようにという個人的な思いもあったと思います。監督をはじめ、ファン・ジョンミン、クァク・ドウォン、チュ・ジフン、チョン・マンシクなど全てにおいて最高の人々と仕事をするのだから、自分も頑張らなければという気持ちで撮影に臨みました。」
自身の演技についての評価はと聞かれたクァク・ドウォンは「演技というのは正解がないので、本当に難しいです。俳優は、たくさんの人が”リアリティがあり面白い“と言ってくれたらより頑張ろうと努力します。足りない点があったら何なりと指摘して、良かった点があったらたくさん褒めてもらえたらと思います。これから、より成長した姿をお見せできるように努力したいと思います。」と語った。
チュ・ジフンは「役者なので次のシーンはわかっているんですが、観客の反応がエキサイティングで僕自身もストーリーを知らなかったみたいに夢中になりました。観客の皆さんも同じ気持ちで見てくれただろうと期待しています。」と興奮した様子を語った。
チョン・マンシクは“GOOD!”と映画を観た感想を一言であらわし、「韓国と文化の違うカナダで熱い反応をしてもらえてとても不思議だし嬉しいです。観客の皆さんに心から感謝したいです。」を観客に対する感謝を惜しまなかった。
いち早く、トロントの観客を熱狂させ心を掴んだ『阿修羅(原題)』。韓国では9月28日に公開、そして日本では、CJ Entertainment Japan配給で2017年春新宿武蔵野館にて公開を予定している。