自殺したと推定される女優カン・ドゥリさん。|本人のツイッター


先日、『怪しい三兄弟』(KBS)や『スキャンダル』(KBS)で活躍した女優のカン・ドゥリさんが自殺をした。「またか」と思ったのが、率直な気持ちだ。今年に入って自殺で亡くなった芸能人はKARAの妹分としてデビューしたアン・ソジン、俳優のパン・ヨンジン、キム・ヒョンジに続き、すでに4人に達する。日本の芸能界に比べ、圧倒的な自殺者が多い韓国芸能界。


それは、芸能界だけに関わらず、韓国社会全体でも状況は同じだ。韓国は、OECD国家の中で自殺者数1位を記録している。2013年を基準としたOECD加盟国の自殺による死亡率は、人口10万人当たり12人。韓国は29.1人で、OECD加盟国のうち、最も高かったのだ。(OECD、「ヘルスデータ2015」)


韓国統計庁が今年度、発表した統計によると、全ての年齢層で自殺率が下がったものの、20代・30代男性の自殺だけは増加したとういう。20代男性の自殺率は前年比4.2%増の21.8人、30代男性は同0.5%増の36.6人に上り、自殺は20代・30代の死因1位となっている。2013年まで10代の死因1位も自殺だったが、昨年は旅客船セウォル号沈没事故により運輸事故がトップになったそうだ。


なぜ、ここまで前途有望な若者の自殺者が後を耐えないのか。それはいびつな韓国社会が影響しているのではないだろうか。それは韓国人特有の“熱しやすく冷めやすい。思い込んだら猪突猛進”の性格が災いしているのは言うまでもないが、背景にあるのが日本より深刻就職難である。OECDの報告書によると、韓国の若年層失業率は10・2%(6月)と、働き盛りの世代(30-54歳)の失業率と比較し、実に3.51倍に達している(OECD平均は2.29倍)となり、厳しい就職難に陥っている。


そんな状況を揶揄して、昨今、若者の間で話題になっているのが“ヘル朝鮮”問いう言葉である。ヘルとはその名の通り英語で地獄という意味。自国に存在価値を見出せない若者が、自国のことをヘル朝鮮と卑下した言葉で呼び、SNSを中心に瞬時に広がったのだ。韓国のネット上の結びつきはいわずもがな、“ネチズン”としてネット上でリーダーシップをとるものもおり、市民権を得ているのだ。その強固たる絆が、11月に起こった朴槿恵政権に反旗を翻すデモにも現れている。
 

日本以上に名声にとらわれ、体面を気にする韓国人。成功への熾烈な競争に疲れ果てた上に襲いかかった出口が見えない就職難。芸能人たちも成功に執着するあまり、なかなか思うように行かない生活にいつしか疲れ果て命を絶ったのだろう。ヘル朝鮮打破は朴槿恵政権の大きな課題である。


THE FACT JAPAN|中西美穂


                                

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