[スポーツソウルジャパン|小川典子記者] 今年10月、東京・新大久保「K-plus韓流百貨店」の2階に、韓国MBCが開設した動画共有サービススタジオ「MBC USTREAM」にて、このたび11月14日から毎週水曜日の午後2時から3時まで放送される、新番組「古家正亨の韓流のススメ」がスタートした。
撮影:小川典子 |
この番組は、日本におけるK-POPの第一人者として名高いラジオDJの古家正亨氏が進行を担当し、コリアンタウン・新大久保から、音楽はもちろん、ドラマや映画などの幅広いジャンルから韓国のエンターテインメントを生放送で楽しもうという、とても画期的な企画である。
先月10月19日から3日間にわたり、このスタジオのお披露目イベントも兼ねて開催された「2012 K-FOOD&MBC DRAMA Festival」では、イ・ジュンギやイ・ギチャン、そしてDalmatian(ダルメシアン)が、オープンイベントに駆けつけ、古家氏とともにスタジオで記者会見やトークショー、ライブなどを繰り広げた。
そのような好評を受け、今回スタートしたこの番組。
番組開始5分前には、古家氏が30人ほどの観覧希望者が待機するスタジオにスタンバイ。初回放送ゆえの緊張感や期待感が入り混じる雰囲気の中、いよいよ新番組が幕を開けた。
冒頭から「インターネットが苦手な自分がなぜ起用されたのでしょうか?」という、古家氏によるいきなりの告白に会場の空気が一気に和らいだ。TwitterやFacebookなどのSNSは利用せず、ブログにいたっては“2日に1回くらいの更新…”としながら、巧みなトークと自身が選んだミュージックビデオをはさみながら、さまざまなコーナーを展開していった。
初回放送を記念して、5人組のバンドグループ、LEDApple(レッドアップル)が韓国から、インターネット電話サービスのSkypeを通じて出演。この日、観覧に参加したファンと直接会話するという、サプライズイベントが実現した。スケジュールの都合で、クァンヨン、ヒョソク、ギュミン、ヨンジュンの4人で出演となった。
彼らが番組のゲスト第一号に選ばれたことが古家氏から伝えられると、メンバー一同、「ありがとうございます!」と感謝しながら、海を越えた韓国から祝福の大きな拍手を贈った。ファンからの「最近覚えた日本語は?」との問いに、「どちらさまでしょうか?」「いただきます!」「ごちそうさまでした!」と、続々と答えるメンバー。逆に日本語を教えることになったファンは「かわいい!」を伝授。実践編となったその後は、4人のメンバーからそれぞれ個性的な「かわいい!」のラブコールを受けることになった。ヨンジュンは、今度来日したときに食べたい日本食は“納豆”とコメント。庶民的な一品に驚いた古家氏から「お寿司は?」と問われると「もう、お寿司は食べたので!」と答えてみせ、笑いを誘っていた。他のメンバーも、とんかつやチャーシューラーメン、たこ焼きといったメニューに関心があるらしい。また、来月12月の14日、15日には、同場所の3階にあるライブスタジオK-Stage O!にて、彼らのファンミーティングイベントが開催することが発表された。
観覧参加者を交えてのトークでは、オープニングイベントに出演したイ・ジュンギについての話に花が咲いた。ジュンギの来日ファンミーティングで、司会を務めたことがある古家氏に、熱心なファンからその人物像について質問が飛び、「気くばりができる方で、本当に感動しました。仕事で再会した時は、僕のことを忘れてしまってはいないかと心配したんですが、『お久しぶりですね!』と声をかけていただき、本当にうれしかったです」と、舞台裏でのエピソードも聞くことができた。「2013年に活躍が期待されるアーティストは?」という質問に、古家氏はソ・イングクを挙げた。グループではB1A4とのこと。第一線で活躍する古家氏と、このような、するどい視点で対話ができるということが、韓流の聖地といわれる新大久保から発信される番組ならではのおもしろさである。
“電子の世界”で進行しているために、合間にはちょっとしたハプニングも生じていたが、番組の雰囲気のゆるさがいい意味での“余白”となり、それもこれもライブ感覚で楽しめる、楽しさが伝わってきた。
視聴者からも、“ゆるい感じがいい!”“ぜひスタジオに行ってみたい”というメッセージが届いていた。
そんな雰囲気で進行された番組も、そろそろ締めの時間となり、「いち早く情報を送るツールになりたいです」と古家氏からの前向きなコメントで、第一回目の放送は終了となった。
ちなみに、この日流れたミュージックビデオは、Aileeの「見せてあげる」、K.willの「Please don’t」、4Minuteの「Ice Cream」の3曲。
新大久保という韓流の象徴であるマニア的なスポットから発信される番組でありながら、インターネットの環境さえ整えば、全世界でこの番組を見ることができるという点に、記者は何か大きな意味を感じることができた。
撮影:小川典子 |
番組を制作するスタッフは、古家氏の起用について、“何よりも、韓国のエンターテインメントに関しての情報力が長けていること”と断言する。場数を踏んできた古家氏だからこそ、アーティストに対しての知識や、韓国語への語学力など、リアルさが伝わってくると述べている。そして、「10月に行われたオープン記念イベントでのお仕事ぶりを見て、『この方しかいない!』と満場一致でオファーをさせていただきました」と、太鼓判を押した。さらに、「新大久保は、エンターテインメントや食分野でのジャンルで発展してきました。透明性が認められないグッズ販売も課題の一つでもあります」と、新大久保の現状を言及しながら、「そのようなことを踏まえて、このプロジェクトは、豊富なコンテンツを持つMBCが、その確かな特性を生かして、日本の方々に韓流の良さを伝えたいという思いでスタートしました。“文化という服を着ていただきたい”という使命感を持って、楽しい番組をお届けできたら幸いです」と、今後の展望を聞かせてくれた。
番組終了後、古家氏に、初回放送を終えての感想などを聞くことができた。
Q:今の心境はいかがですか?
A:初めての試みだったので、「ネット放送ってこんな感じなの?」という感覚で進行していました。ラジオなどでの活動が多いので、“マスメディアの役割”の違いというものを、あらためて肌で感じました。どのように進行していいのか手探りの状態だったので、“普段通りにやろう”という思いでした。ネットツールを生かして、自然に韓国の文化を体感することができるスタジオですね。
Q:ミュージックビデオはどのような視点で選曲していますか?
A:日本にはない“リアルな韓国の音楽シーン”をお届けしたいというコンセプトで選んでいます。今、日本で流行している楽曲よりも、若干マニアックな方向性に、という狙いがあります。
Q:新大久保から生放送するということについては?
A:実際に、新大久保からお客さんが離れつつあるという話も聞きますが、そのようにオモテに見えることよりも、この街は、もっと深いところにある、いろいろな側面を持つところだと思っています。このスタジオは、JRの新大久保駅からも離れていて、職安通りのちょっと外れたところにある。そんなところにも何か“意味”のようなものを感じるんです。K-POPに興味がある方はもちろんですが、偶然通りかかった方にも、韓国のエンターテインメントの情報をお届けすることができる、そんなスポットだと思っています。
【Information】
「古家正亨の韓流のススメ」
毎週水曜日 14:00~15:00
MBC USTREAM公式サイト
http://www.ustream.tv/channel/mbckntv