韓国では、脱北者女性のアイドルグループ「タルレ音楽団」が活躍中。 |
北朝鮮の韓国への砲撃が再び始まった。そこで、今日は韓国芸能界に置ける、北朝鮮について考えてみたいと思う。改めて調べてみると、北朝鮮コンテンツは韓国芸能界と密接に繋がっていることがわかった。
現在、ケーブルテレビのバラエティ番組『南男北女』、『いま会いに行きます』など、韓国では北朝鮮をテーマにした番組が人気を博している。
前者は北朝鮮出身の女性と韓国のタレントが仮想結婚をし、生活を通し互いの価値観や文化に理解を深めていく内容だ。日本でも“東男に京女”と言われるように、朝鮮でも“南男に北女”ということわざがあり、韓国男には北朝鮮女が合うという意味らしい。
後者は北朝鮮出身の美しい女性たちが、北朝鮮での苦労話をときにシリアスに、ときに笑い話としてトークする番組。北朝鮮ならではの踊りやダンスなどを披露し、“脱北美女”と呼ばれ、キム・アラやハン・ソヒなどこの番組をきっかけに有名になる女性も多くいるという。
アイドルでいうと、日本では「モランボン楽団」ばかり注目されるが、韓国では、脱北者女性のアイドルグループ「タルレ音楽団」が活躍中だ。北朝鮮では宣伝歌を歌ったり、舞踊を学んでいたため、「モランボン楽団」に劣らない美貌と歌唱力を持ち合わせている。
そして、何といっても「シュリ」や「JSA」に代表されるように、北朝鮮をテーマにした映画が多くあるということだ。他にも、キム・スヒョン主演の「シークレット・ミッション」、T.O.P主演の「同級生」、コン・ユ主演の「容疑者」などがあげられる。韓国人と北朝鮮人が憎しみを抱えながら葛藤する人間模様を描くために、北朝鮮は欠かせない存在となっているのだ。
敵対していても、文化として定着している北朝鮮コンテンツ。なぜ、敵国である北朝鮮の文化を韓国人は受け入れることができるのであろうか。
「政治的、経済的に追い詰められ、韓国に逃れてくる脱北者は1990年代から急激に増加してきました。それに合わせ、韓国政府も脱北者に対する制度を整備し、脱北者を対象にした教育機関などを作り、韓国社会に適応できるよう努力してきました。それから約30年の月日が流れ、脱北者の韓国社会進出も増加し、身近な存在になったのが理由だと思います。今では、教授や国会銀としてそれなりの地位に上り詰めた人もいます。今までは得体も知れないバケモノのようなイメージしか持たれていなかった北朝鮮人が、同じ、“人”であることが韓国社会に浸透したんでしょうね。それが映画の中の人間模様の描き方に現れていると思います」(韓国芸能事務所関係者)
文化的には縮まったように見える両国だが、政治的要因によってより乖離し、統一が起こりそうで起こらない非現実の最大級の演出方法になってしまっているような気がするのは、日本人である私だからであろうか。
THE FACT JAPAN|中西美穂
:大学卒業後、韓国の高麗大学付属語学堂へ留学し、韓国の魅力にはまる。「週刊女性」、「週刊文春」の記者を経てフリーライターに。著書「プチ韓国新大久保完全ブック」。個人ブログ<http://blog.livedoor.jp/