中国行きの大韓航空の旅客機内で乗客一人が全治6週に及ぶ怪我を負った。|大韓航空


世間を騒がせる「ピーナッツリターン」などで大韓航空に対する非難が殺到する中、中国行きの大韓航空の旅客機内で乗客一人が全治6週に及ぶ怪我を負ったことが確認された。表面上では、着陸直後の慌ただしい雰囲気の中で発生した単純な事故。しかし、被害者側は、自社航空規定すら無視した大韓航空側の無理な運営による事故だと主張しながら、大韓航空の不誠実な態度も問題視している。これに対して大韓航空側は、被害者の要求で合意に至る時間が長引いただけで誠実に対応してきたと反発している。


中堅企業のオーナーであるA氏は家族と一緒に2013年12月、中国・深センに向かう大韓航空KE827便に乗った。深セン空港に到着した後、降りる準備をしていたA氏は、突然荷台から落ちた旅行バックに頭と首を打たれ、頭から出血するけがを負った。その後、韓国に帰って精密検診を行った結果、肩の関節と首部分の捻挫、頭部表皮の損傷や打撲などで全治6週の診断を受けた。


事故は、中国人の女性乗客が重いバッグを無理やりに引き出そうとする過程で発生した。性急な乗客の軽率な行動が引き起こした単純な事故に見えるが、A氏は「バッグの重量が機内への持ち込みが可能な手荷物の重量制限をはるかに超えていた」と、大韓航空の規定違反を指摘した。大韓航空の機内手荷物規定によると、エコノミークラスの場合、12kg以上の荷物は機内への持ち込みができないと定めている。超過する場合は、貨物室に移して移送する。


大韓航空の機内手荷物規定。エコノミークラスの場合12kgまでと記載されている。|大韓航空のホームページ


しかし、A氏の主張によると、大韓航空側は規定を超えた17kg超のバッグを制止しておらず、むしろ搭乗当時、男性乗組員が女性の旅行バッグを荷台に載せてくれるなど積極的な姿を見せた。事故直後、「重い荷物を引き取ったならば、降りるときにも最後まで責任をとるべきのではないのか」というA氏の抗議に、機内事務長に見える大韓航空側の職員が過ちを認めながら直接謝罪したという。


大韓航空側も手荷物重量が超過した点については認めつつも、「客室乗務員がお客様の荷物の重量をいちいちチェックするのは無理」と現実的な困難さを吐露した。また「厳密に言えば、無理やりに荷物を降ろそうとした女性乗客のミスが大きい。しかし、大韓航空機内で発生した事故なので、責任を持って誠実に対応してきた」と強調した。


以来、A氏は大韓航空の法務チームと賠償と関連して議論し、500万ウォンの示談金を提案された。しかし、A氏は大韓航空側の不誠意な態度を指摘している。事故が発生してから1年が過ぎた時点でようやく合意の意思を明らかにしたというのがA氏の主張。


負傷事故は一昨年の2013年12月23日に発生したが、大韓航空の法務チームが同事故に関する答えをA氏に出したのは足掛け2年が過ぎた2015年1月。このように遅れた経緯についてA氏は、「担当者と連絡をとるのが大変だったし、消極的な態度で一貫してきた。連絡もいつもこちらからで、しっかりとした謝罪の言葉もなかった」と大韓航空の対応を非難。また、A氏は「当時、座っていた座席は本来、同乗していた息子の席だった。ややもすれば大きな事故につながるかねない恐ろしい瞬間だったが、大韓航空側はどんなモーションも見せず1年も長引かせた」と語った。


これに対し大韓航空側は「合意に至るまで期日が遅れた理由は、“怪我の後遺症を見てからまた話しましょう”という被害者側からの要請があったからだ。和解金を与えないために先送りしたわけではない」と反発。また、「今月(1月)初めに示談金を提示し、被害者側も通帳のコピーを送るなど合意の意思を伝えた状況」としながら、突然不満を表現したことに当惑感を示した。


最近大韓航空は、チョ・ヒョンア前副社長の「ピーナッツリターン」で非難の的となっている。オーナー一家の無鉄砲で無茶な行動が大きく叩かれる状況で、原則より自分の地位を重視する頂点に立つ者の安易な考え方に非難が集中される。今回の事故も、両側の意見が食い違っているが、安全第一にこだわらなければなら航空会社側の規制違反が明確であるだけに、さらに慎重な取り組みが必要だった。乗客間で起きた単純な事故とはいえ、機内で発生した事故である以上、より積極的で誠実な顧客対応が求められる。


スポーツソウルメディアジャパン|安・ビョンチョル記者

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