東京で味わう本場の味「春川タックカルビ」

 

韓国の代表的なお肉料理と言えば“カルビ”だ。日本では牛のカルビ一色だが、韓国本場では豚や鶏肉のカルビもあって庶民に愛されている。特に鶏のカルビは、優しい値段で満腹になるまで楽しめる、庶民の味方として外食の定番になっている。


鶏のカルビを韓国では “タックカルビ(タッカルビ)”という。ぶつ切りにした鶏のもも肉にニンジン、タマネギ、さつまいも、キャベツ、お餅などを加え、甘辛いコチュジャンをベースにしたタレをかけて鉄板の上で炒めて食べる。コチュジャンをベースにしたため、その味は基本辛いのだが、各種の野菜などから出てくる自然の甘みもあって、辛味と甘味が絡み合う絶妙な味のバランスを取っているのが“タックカルビ”の特徴。


さらにタックカルビには決まったシメがあり、料理の中にもう一つの料理として定着している。簡単で地味な調理方法だが、ある程度食べたら残った具にご飯をトッピングして一緒に炒めて食べるのがタックカルビのシメ。しかし、余りもおいしくて過食してしまう場合が続出するため、韓国の女性たちはタックカルビを食べる時に必ず注意する。

 

シメのご飯炒め(左)と「春川タックカルビ」の名物のマッグクス。


“タックカルビ”のもう一つの特徴は、丸い鉄板を囲むように座って一緒に食べること。なぜそういう形になったのかは分からないが、家族や友達、恋人同士などが料理を食べながら会話を交わすには完ぺきな形だ。

 

こういう理由で“タックカルビ”は、入れ替えが激しい韓国飲食店界にも長く愛され、今も繁華街に行けば必ず見つける飲食店の一つになっている。ちなみにドラマ「冬のソナタ」のロケ地として有名な春川(チュンチョン)には「春川明洞タッカルビ通り」があって、数十店のタックカルビ専門店が並んでいる。タッカルビを目当てに毎年ここを訪れる観光客が数十万人にのぼる。余り知られていないが、そんな“タックカルビ”を東京でも楽しむことが出来る。それも日本人の口に合わせた“変種の味”ではなく、韓国本場の味をそのまま再現した店だ。

 

タックカルビ専門店として東京・新宿に営業しているのが「春川タックカルビ」。2年前にオープンした、7個のテーブルしかいない小さい店だが、口コミで平日も万席になる人気店だ。

韓国人夫婦が運営しているこの店は、最初は韓国人の留学生や駐在員をターゲットにした。が、最近は韓国本場の味を求める日本人が増え、客層で日本人が占める比率が急増しているという。


店長の金・仁善(キム・インソン)氏は「新大久保の他の韓国レストランと差別化を図るために鶏カルビ専門店をオープンした。期待した以上に地域に住んでいる韓国の方々が訪問して、2年間店を維持することが出来た。最近は日本の方々も増え、本場の味を知らせる絶好の機会だと思って努力している」としながら、韓国本土の味で“韓国人の情”を日本に伝えたいと語る。


正真正銘の“タックカルビ”と 味で表現される“韓国の情”をここ東京で安い値段とともに経験することも、決して損にはならないはずだ。

 

●店舗情報
「春川タックカルビ」
東京都新宿区河田町4-8
TEL. 03-6380-5923

 

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