映画「逆鱗」の主演俳優ヒョンビンが13日、ソウルのあるカフェで<スポーツソウルドットコム>とのインタビューを行った。|© ALL THAT CINEMA

 

[スポーツソウルドットコム|ソン・ジヨン記者] 俳優ヒョンビン(31、実名:キム・テピョン)はデビュー11年目の俳優だが、今もどんな事でも慎重に動く。対面する人さえ緊張させるほど、彼の言動一つ一つには謙虚さと真摯な面がにじみ出る。そんなヒョンビンの性格は、朝鮮王の正祖(チョンジョ)を演技するのに役に立ったのだろうか。


ヒョンビンは除隊後の復帰作としてイ・ジェギュ監督の映画「逆鱗」を選択した。朝鮮の第22代王である正祖。幼い頃に父を失った正祖は一生、死の脅威に苦しめられた悲運の王。だが、現在にも“聖君”と称されるくらい、尊敬された王でもある。そんな“聖君”を「逆鱗」を通じてヒョンビンが演じたのだ。しかし、彼に「満足していますか」と尋ねると、寂しい表情で静かに答えた。


「満足していません」


彼は、愉快だったり刺激的な人ではない。そのためか、より一層深い味が感じられる俳優だ。王になったヒョンビンを13日、ソウル・三清洞のあるカフェで直接対面した。


◆ヒョンビンが選択した「逆鱗」、言えなかった裏話

 

多数のドラマをヒットさせたイ・ジェギュ監督がメガホンをとった映画「逆鱗」|提供 ロッテエンターテイメント


ヒョンビンが除隊後復帰作として選択した「逆鱗」は、朝鮮時代の第22代王である正祖の話だ。ドラマ「チェオクの剣」「ベートーベン・ウィルス~愛と情熱のシンフォニー~」「The King 2Heart」を演出したイ・ジェギュ監督がメガホンをとり、ヒョンビンのほか、チョ・ジョンソク、チョ・ジェヒョン、ハン・ジミン、キム・ソンリョン、パク・ソンウン、チョン・ウンチェなど演技派俳優たちが大挙出演して、封切りの前から話題を集めた。


映画ファンたちの高い関心は、映画の興行につながった。おりしもヒョンビンを直接向き合ったその日、「逆鱗」が損益分岐点を超えたという嬉しいニュースが聞こえ、彼にお祝いの言葉を渡した。


「嬉しいです。ファンの方々の関心のおかげです。『逆鱗』の舞台あいさつに100回以上も回ったと思いますが、3万人以上の観客と直接会いました(笑)。コンサートをする歌手のような気持ちになりましたよ。多くの方が映画を観覧していただき、出演者たちも、監督も皆、感謝しています」

 

ヒョンビンは「逆鱗」を通じて、初めて時代劇に挑戦した。|© ALL THAT CINEMA


ヒョンビンは「逆鱗」で朝鮮の王を演じた。11年目の俳優だが、初めて挑戦する時代劇だった。女優との甘いロマンスもなかった。“ロマンスなしにひげまでつけたヒョンビン”は、ファンにとって、想像できない“難題”と同じものだった。


「僕はむしろ良かったです(笑)。男たちとロマンスのような友情を交わしたので、大変良かったんです。軍隊のことで2年以上のブランクがあったので、演技に対する渇きがひどかった。そんな中で出会った作品が『逆鱗』です。僕にとっては、大きな幸運だと思います。“正祖”という人物に出会ったのは、もう一つの演技勉強になりました。それで『逆鱗』は、僕のフィルモグラフィー中でも特別な作品として記憶されると思います」


ヒョンビンは“正祖”を演じたことと関連し、「幸運」という言葉で感想を表現した。彼は今回の作品で多くのことをもう一度考え、たくさんのことを学ぶきっかけになったと説明した。


「“正祖”という人物を演じながらキャラクターの勉強を一生懸命にしました。ファンが送ってくださった関連本を読んだり、監督との話もたくさん交わしたんです」


「王を演技する際に難しいことは、馬に乗ることでも、弓を射つことでもありませんでした。正祖の性格を作品の中に溶かし出すことが複雑で難しかったです。もちろん、今回のキャラクターだけでなく、すべての作品を終わらせた後には、物足りなさが残りまして、それが当たり前のようになりました。僕はまだ未熟ですね」

 

「逆鱗」を撮影する際、正祖として生きたヒョンビン。|映画「逆鱗」スチール


◆“ヒョンビン”という名前とプレッシャー


“ヒョンビン”。自分にとっては負担になる名前ではないだろうか。“ヒョンビン”という名前で主演したドラマ「アイルランド」「私の名前はキム・サムスン」「彼らが生きる世界」「シークレットガーデン」で、トップスターになり、いつも多くのスポットライトが“ヒョンビン”に降り注いたからだ。


彼に「キム・テピョンという実名が逆にぎこちなくなったのではないか」と半分冗談で聞くと、笑いながら「大丈夫です」と答えた。

 

トップスターのヒョンビンにはいつも多くの人々の関心とスポットライトが降り注ぐ。|キム・スルギインターン記者


「今は僕も“ヒョンビン”の方が慣れています。家族も僕に“ビン”と呼ぶんですよ。ただ、作品をする時に“ヒョンビン”という名で注目される場合は、少し辛いです。“ヒョンビンの筋肉”とか、“ヒョンビンの映画”とか、そういうタイトルは本当に残念に思います(笑)。そういうことで、我々が作品を通じて伝えたいメッセージの力が弱まる気がして、気に入らない時があります」


彼のこの言葉で演技に対する情熱、仕事に対する愛着が感じられた。除隊後に演技への渇きを感じたという彼の言葉で、彼の才能が「逆鱗」で100%発揮されたような気がした。冷めない彼のエネルギーと俳優というタイトルを守りたがる理由が知りたかった。


"僕は、限界が多い人です(笑)。しかし、作品を介してカメラの中に入ると、そういう限界が消えるんです。演技を通じて僕はさまざまな人生を生きることができますし、それは絶対飽きないんです。別の空間、別の時代で生きて、別の人になって、人と対面する。それが本当に楽しいです」

 

俳優ヒョンビンは、遅いだが硬く成長する演技者になりたいという抱負を明らかにした。|© ALL THAT CINEMA


正祖に扮したヒョンビンに最後の質問を投げた。「映画の中の正祖は“小さな変化の力”を信じていた。『逆鱗』を通じて再び変身した俳優ヒョンビンの“変化”は何だろうか」


「まずはゆっくりといきたいと思います。今のようにですね(笑)。より良い人に、そしてより良い俳優に変化する努力を続けたいと思います。様々な作品に出演するために、自ら限界を設定しないようにして進みます。個人的には、人を理解する方法をもっと学びたいです。一つ一つゆっくりと進んでいきます」

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