俳優ヒョンビンの除隊後の復帰作となる主演映画「逆鱗」の制作報告会が2日、ソウル・広津区(クァンジン・グ)紫陽洞(チャヤン・ドン)にあるロッテシネマ建大入口店で行われた。|写真:キム・スルギインターン記者

 

[スポーツソウルドットコム|キム・ガヨン記者] 俳優ヒョンビン(31)が正祖(李氏朝鮮の第22代国王)になって帰ってくる。
彼が除隊後の復帰作として選んだ映画「逆鱗」は、俳優人生初の時代劇挑戦作であり、しかもそれは、これまで多くの役者たちが演じてきたキャラクター“正祖”を、敢えて選択した。これは冒険とも言える。しかしヒョンビンは、他の作で描かれた正祖を明らかに違う形で描いていく。「逆鱗」の正祖は、ヒョンビンという俳優を通じてどのように生まれ変わったのだろうか。


2日午前、ソウル・紫陽洞にあるロッテシネマ建大入口店(映画館)で、映画「逆鱗」(監督:イ・ジェギュ)の制作報告会が開かれた。会見には、今作の演出を務めたイ・ジェギュ監督をはじめ、主演俳優のヒョンビン、チョン・ジェヨン、チョ・ジョンソク、女優ハン・ジミン、チョン・ウンチェ、俳優パク・ソンウンなどの主役たちが出席した。
「逆鱗」はヒョンビンの復帰作としてすでに大きな注目を集めていた作品。さらには、彼が時代劇に初めて挑戦した映画とあって、会場には多くの報道陣が駆けつけた。


ヒョンビンが演じる「逆鱗」の正祖とは、党派間の熾烈な争いの中で逆賊という濡れ衣を着せられ、悲劇的な死を遂げた荘献世子(思悼世子)の息子。祖父の英祖が薨去した後、25歳で即位した。世孫時代から絶え間ない暗殺の脅威に苦しめられながらも、強靭な姿と平常心を失わなかった正祖は、尊賢閣で夜も眠れないまま過ごすところ、逆謀の瞬間と遭遇することになる。


劇的な人生を生きたことと歴史に記録された正祖は、これまで多数の作品で描かれた。最近の代表作といえばMBCドラマの「イ・サン」(2007年・正祖役:イ・ソジン)SBSドラマ「風の絵師」(2008年・正祖役:ペ・スビン)、KBS2TVドラマ「トキメキ成均館スキャンダル」(2010年・正祖役:チョ・ソンハ)などがあり、その前作まで登ると多くの役者たちが正祖を演じている。それほど正祖役は、ある意味特別なところを見つけることが非常に難しいキャラクターである。しかしヒョンビンが描いた正祖とは、君主ではない“人間”そのものだった。


ヒョンビンは会見で「これまで正祖が出てきた作品はあえて観ませんでした。正祖という人物はとてもドラマチックな人生を生きていた魅力的な人物であるため、多くの作品で紹介されたようですが、『逆鱗』では、最も多忙な一日を過ごす正祖が見られると思います」と述べた。続いて「危険に迫られる王権を守らなければならない姿、そして暗殺脅威の中で周囲の人々を守っていかなければならなかった彼の姿を、すべて描いていきたかったです。その24時間という時の中で、最も差し迫った正祖の姿を見せられると思います」と期待を寄せた。

 

俳優ヒョンビンが映画「逆鱗」で公開して、熱く話題を呼んだ背筋をみせるシーン。|「逆鱗」の予告編より

 

最近話題になったヒョンビンの背筋だが、これは正祖というキャラクターのために意図された演出だった。実際に文武両方に精通した正祖を描くために努力したイ・ジェギュ監督は、正祖を演じるヒョンビンの背筋シーンで、これを表現した。しかしそれは、ヒョンビンにとって簡単なものではなかった。


ヒョンビンは「実際の王さまなら、そんな背中の筋肉は持っていなかったと思いますが、シナリオに“正祖の細かい背筋は完ぺきなもの”という一文を読んで筋トレに励みました。3ヶ月前から始めて、撮影しながらもトレーニングと献立調整を並行しました」と、厳しくしていたトレーニング方法の裏話を打ち明けた。
これにイ監督は「正祖が実際にもそんな背筋があったのかは分からないですが、文武に精通している正祖の姿を集約的に見せたいと思いました。ヒョンビンさんはすごく努力しましたし、きっと毎日がストレスに囲まれていたはずです。また、主要シーンに対するプレッシャーも相当あったと思いますが、最後まで頑張ってくれました」とヒョンビンに感謝の気持ちを伝えた。


イ監督は映画で、正祖をどのように描きたかったのだろうか。彼は「最もリアルに近い正祖の姿を描きたかったです。私が分析した正祖は、女性性と男性性が共存する人物でした。生き方について細かな姿を持っていながらも、爆発力のある男性像を持っていた人物でもあります。ある君主を描きたかったというよりは、人間、そのものを描きたかったですね」と強調した。続いて、「何度も迫られる厳しい状況でも、正祖は21年間王座を守っていました。そのような苦痛の中でも、肯定的な未来を夢見る人の姿を描きたかったです。それを通じて私たちが望む君主像はどのようなもので、私たちが望む人生が、どんなものかを知ることができればと思ったんです」と付け加えた。

 

映画「逆鱗」の主役たち。左からイ・ジェギュ監督、ヒョンビン、チョン・ジェヨン、チョ・ジョンソク、ハン・ジミン、チョン・ウンチェ、パク・ソンウン。

 

映画「逆鱗」は実話に基づいているが、想像が加わった作品だ。最後にイ監督は「1777年に起きた正祖暗殺未遂事件という実話に基づいていますが、映画の中には想像で作られた関係があります。半分は実存し半分はフィクションでみていただければと思います。事実と想像が混じっている作品です」と説明した。


俳優ヒョンビンとイ・ジェギュ監督が力を合わせて生まれ変わる正祖とは、果たしてどんな人物と描かれただろうか。「逆鱗」は来る30日、(韓国で)公開される。

―編集:安宰範


「逆鱗(げきりん)」の意味:伝説上の神獣である竜(龍)の81枚の鱗のうち、あごの下に1枚だけ逆さに生えるとされる鱗のことをいう。「竜」は、元来人間に危害を与えることはないが、喉元の「逆鱗」に触れられることを非常に嫌うため、これに触られた場合には激昂し、触れた者を即座に殺すとされた。このため、「逆鱗」は触れてはならないものを表現する言葉となり、帝王(主君)の激怒を呼ぶような行為を指して、「逆鱗に嬰(ふ)れる」と比喩表現された。―ウィキペディアを参照

 

 

 

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