ソプラノ 田月仙(チョン・ウォルソン)。

 

[スポーツソウルメディアジャパン|編集局] 歴史問題や領土問題など溝が深まる韓国、拉致問題や核問題など対話の糸口も見えない北朝鮮。日本と隣国・朝鮮半島との関係は混迷を続けている。


在日コリアン二世のソプラノ歌手・田月仙(チョン・ウォルソン)は、この「3つの国」を歌でつないできた。彼女は今年2013年、歌手生活30年を迎え、特別リサイタルを開く(8月31日・大阪、10月12日・東京)。特に多くの在日コリアンが暮らす大阪では初めてのリサイタルとなる(大阪公演は満席)。


◆日本と朝鮮半島の架け橋
「魂を揺さぶる歌声」が多くのファンを魅了してきたオペラ歌手・田月仙(チョン・ウォルソン=二期会会員)。日本ではまだ韓国人声楽家がほとんどいなかっ1983年、東京での連続リサイタルで鮮烈なデビュー。その後、世界の舞台でオペラやコンサートに出演する傍ら、日本の小泉純一郎総理大臣、韓国の金大中大統領、北朝鮮の金日成主席と日韓朝の首脳の前で歌った唯一の歌手としても注目を浴びた。また初の南北(韓国・北朝鮮)両公演、初めて韓国ソウルで公式に日本の歌を歌うなど、「日韓の架け橋」としての役割を果たしてきた。
 

◆KBSスペシャル海峡のアリア
今年2013年4月には、韓国KBSで「KBSスペシャル 海峡のアリア 田月仙30年の記録」という特別番組が放送された。日曜夜8時の地上波・ゴールデンの看板放送だったため視聴率とともに、インターネットでの検索が一時トップになった。


この番組は、田月仙の歌もさることながら、韓国ではあまり関心がなかった「日本人拉致問題」や「北朝鮮帰国者問題」などへの関心も呼び起こした。日本と朝鮮半島の狭間で歌い続ける在日コリアンの姿への共感を呼び起こし、彼女の元に多くのメールが届き、映画化のオファーなど大きな反響があった。
(KBSサイト:http://www.kbs.co.kr/1tv/sisa/kbsspecial/view/preview/index.html
(日本語版サイト:https://www.youtube.com/watch?v=UzNdRwof08c
 

◆日本にコリアの歌を、韓国に日本の歌を紹介して 30年
田月仙は30年にわたり、世界各国で舞台に立ち続けると共に、日本に韓国の歌を、韓国には日本の歌を紹介してきた。中でも田月仙の歌うコリア歌曲はデビュー当時から「韓国・朝鮮の歌がオペラアリアと同じレベルで紹介されるのは嚆矢とするのではあるまいか」と評され、聴く人々に新鮮な驚きと感動を与えた。田月仙がソプラノで歌うコリア歌曲は独特なもので、作家の唐十郎や梁石日など多くのファンがいる。また本場韓国の歌番組「開かれた音楽会(열린음악회)」などテレビの音楽番組にも何度も出演しコリア歌曲を披露。一方、韓国で日本文化が開放される以前から日本の歌を紹介してきた。
 

ソプラノ 田月仙(チョン・ウォルソン)。

 

◆リサイタルの準備:日本と朝鮮半島の音楽を探して
田月仙がリサイタルで歌う歌の中には自ら見つけ出した歌も多く含まれている。各地でのコンサートの合間に、日本と朝鮮半島の歴史に埋もれた歌(SPレコードや楽譜など)を探し出し、歴史の証言者の話を聞き取り、それを文章に記録しており「日韓朝の音楽研究者」という顔もある。それは、3冊の音楽ノンフィクション(「海峡のアリア(小学館」)、「禁じられた歌(中央公論)」、「K-POP遙かなる記憶(小学館)」)になった。そして彼女は自らが見つけ出した歌を、その歌に込められた背景に思いをはせ、それを再び自らの解釈で歌うという「歌探し」のプロセスを続けており、リサイタルでも新曲を披露する。
 

◆リサイタルの曲目
30周年記念リサイタル「歌に生き 愛に生き」では、オペラアリアのほか、コリアの歌や日本の歌を彼女ならではの表現で綴る。韓国歌曲では代表的な「故郷の春」などの名曲を独自の編曲で新発表するほか、「正調アリラン」などの民謡をクラシック音楽のアレンジを加えた独特な表現で披露。これらは本場・韓国の音楽関係者をも唸らせ、他では聴くことの出来ない「唱(チャン)とベルカントの出会い」と期待されている。(唱=韓国の伝統芸能パンソリなどの独特の歌唱)。日本の歌ではポピュラー音楽とのコラボレ-ショーンを試みたオリジナル曲「ふたりの海」などが披露される。また日韓のテレビでも度々紹介されている代表曲「高麗山河わが愛・山河を越えて」など彼女が発掘し絶大な支持を得ている歌も紹介。オペラでは得意とするプッチーニ作曲の「トスカ」より「歌に生き愛に生き」などをゲスト歌手と共に演出し白熱の舞台を展開する。
 

◆初めての大阪公演・期待されている東京公演
8月31日は、初の大阪でのリサイタルが実現することになった。大阪ではいまヘイトデモなど嫌韓の人々と在日コリアンの対立が激しいという。そのため、日本のファンはもとより大阪に数多く暮らす在日コリアンや根強いファンからのご要望に応えるかたちで開催することになった。大阪公演では、田月仙が指導する日本人と在日韓国人で構成されるコーラス団も東京から参加・出演する。


また、10月12日の東京公演では著名な作曲家・ピアニストの朝岡真木子、そして在日韓国人で新鋭バイオリニストのSONGIL(崔誠一)も出演し、日韓の饗宴が繰り広げられられる。
 

…今年30年を迎える、田月仙(チョンウォルソン)は、いま混迷する日韓朝を歌でつなごうとしている…。

 

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田月仙(チョン・ウォルソン)30周年記念リサイタル「歌に生き  愛に生き」

 

●大阪公演 2013年 8月31日(土) 18時 開演
ザ・フェニックスホール http://phoenixhall.jp 
〒530-0047大阪市北区西天満4-15-10 ☎06-6363-0311
●東京公演 2013年 10月12日(土) 18時 開演
紀尾井ホール   http://www.kioi-hall.or.jp
〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町6-5 ☎03-5276-4500(代表)
 

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